内視鏡検査後に発生する大腸癌を内視鏡後・大腸癌(PCCRC)と呼びます。原因は「ポリープの見落とし」です
「PCCRCの発生率」で見ると実は20年以上、大腸内視鏡は進歩していないことが判ります。
当院の取り組み
<68項目の精度改良>を進め2015年以後は内視鏡後・大腸癌は無くなり、2018年から「補償制度」を開始
<お支払額>
ランク
ポリープの数1年
以内に大腸癌2年
以内に大腸癌3年
以内に大腸癌4年
以内に大腸癌A 0個 3千万円 2千万円 1千万円 500万円 B 1〜2個 2千万円 1千万円 500万円 100万円 C 3〜4個
1千万円 500万円 100万円 D 5〜6個 500万円 100万円 30万円 E 7個以上 or 粘膜内癌 ・高度異型
or 10ミリ以上 or 陥凹型100万円 30万円 2023年8月 一部修正 永久
EaFAP,HNPCC、SPS
ポリポーシス症候群100万円 30万円 アスピリンを検討してください
(詳しく・・)F E+観察条件不良 100万円 - 例外 炎症性腸疾患の方、35歳以下の方、75歳以上の方、日本人以外の方 原則としてEランクになります(理由) (1)洗浄不良(2)憩室が多い(3)腸が長く屈曲が多い、収縮が強い、癒着が強い(4)手術後(5)痔がひどい等、「死角がある・観察条件が不良」の場合や体質的にリスクが高い方はランクが落ちます。
対策は こちらをお読みください
●趣旨は(1)医師が、患者さんとリスクを共有することで精度を上げる(2)内視鏡後・大腸癌の確実な追跡調査です。【お支払いの詳しい条件は、こちらを】
2018年3月〜2024年12月で、16,789名(医師向け内訳と全カルテ番号)が 精度保証内視鏡を受けました
内視鏡後大腸癌(PCCRC)発生数
(請求・支払いの件数)0名
集計法(専門家向け)
PCCRC-Rateは0/17
日本のトップ レベル医療機関で
同数の方が検査を受けた場合の発生数(※)
24名
厚生省研究・JPSを基に
700分の1で計算
内視鏡を全く受けなかった場合 75名
NPSを基に予測
「他医療機関で癌が診断された場合でもお支払いする」という約束なので「内視鏡後・大腸癌」の確実な追跡調査が可能になります。
(※)癌専門病院でも1年後に1/700人が「内視鏡後・大腸癌」になると報告されています(⇒詳細)
精度保証内視鏡の特徴
(1)最高画質機(1500型)の使用
(2)30分以上の観察時間(通常は平均5分)
(3)平坦陥凹型の発見率を定期公開
(4)遺残の無い拡大切除(Extend Cold法)
(5)全検査を院長が施行
重要なのは「ポリープ発見率」と「観察時間」
「ポリープ発見率」が医師の技術を、「実際の観察時間」が、どれだけ丁寧に検査されたかを表します。
この二つが内視鏡後・大腸癌の発生率を決めます。
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「平坦陥凹型ポリープ(Ub、Uc)の発見率」を定期的に公開
30分以上の観察時間を保証( 一般的な医療機関の観察時間は5分前後)。
検査後に「観察時間(抜去時間)」を記録した写真をお渡しします。
観察時間とは?
●使用スコープの機種(EZ1500DI)と観察時の鎮静剤使用について
現在、最も高性能な1500型スコープを使用。このスコープは大学病院には必ず常備されていますが、ほとんど使われません。太いため使いこなすには技術が必要だからです。
この情報開示により「発見率〜%の医師が〜分間、観察した」という数字で検査の品質が明白になります。
「大腸癌を早期発見しても死亡率が減少しない可能性(早期転移仮説)」が2019年のNature誌に報告されました。「癌の早期発見」ではなく「ポリープ切除による癌の予防」が重要という意味です。
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PCCRCと精度保証内視鏡検査に関するQ &A
Q:大腸癌の中にはポリープを経ないで発生するタイプがあると聞きました。ですから、どんな精度の高い検査をしても内視鏡後・大腸癌(PCCRC)=ゼロにはできないのでは?
A:まず言葉の定義から。内視鏡後・大腸癌(PCCRC)とは「腺癌」に限定されます。粘膜下腫瘍(カルチノイド・肉腫・悪性リンパ腫)など、ポリープと関係ない悪性腫瘍はPCCRCには含めません(これらは内視鏡では「予防不可能」です)。
「では腺癌は全て、ポリープ切除で予防できるのか?」というのが論点になります。日本には「腺癌が正常粘膜から発生する」という仮説(De Novo仮説)がありました。しかし、現在は科学的に否定されています(⇒大腸癌最新情報)。
現在はDe Novo癌と考えられていた癌は「平坦・陥凹型癌=Uc癌」である、というのが定説です。そして「良性のUcを見落とさなければ腺癌は100%予防できるはず(⇒大腸癌最新情報)」というのが専門家の予想です。しかし、この予想の証明に成功した報告はありません。Ucの完全検出は困難だからです。、当院の精度保証検査が、「初めての証明」になります。
Q:患者からの金額の請求が無いから内視鏡後・大腸癌(PCCRC)=ゼロ、と言い切れますか?例えば寝たきりの高齢者に発生した内視鏡後・大腸癌は表面化しないでしょう?
A:複数の理由から内視鏡後・大腸癌(PCCRC)は、最初に検査した医師とは別の医師に診断される傾向があり「表面化」しにくく、臨床研究では、追跡調査が最大の難問になります。他医院で見つかった内視鏡後・大腸も補償対象である当院の補償システムは、この難問の唯一の現実的な解決策です<調査法の問題について>。無論、科学的な厳密性には患者さん全員に確認のための内視鏡をする必要があります(現実的ではありません)。しかしながら当院の補償システムで追跡調査として十分と考えます。何故なら「内視鏡後・大腸癌」とは科学的・生物学的問題ではなく、社会医学的あるいは医療訴訟上の問題だからです。
Q:内視鏡後・大腸癌(PCCRC)とは検査後何年以内までの大腸癌ですか?
A:通常、PCCRCの統計では「検査後3年以内の大腸癌」とするのが一般的です。当院の精度保証型検査では平均的リスク(C、Dランク:9割の方が該当)なら3年保証。低リスク(A,Bランク)なら4年保証、高リスク(Eランク)なら2年保証となっており、リスクに応じてPCCRCの定義期間が変動します
Q:日本の内視鏡は世界一と聞いた。私は医師を信頼している。金銭的補償などというのは日本の医療になじまないと考える
A:あなたが今まで内視鏡を受けてもPCCRCにならなかったのは単純に運が良かっただけかもしれません。医師を過剰に信用するのは危険であり、信用すべきは「数字」です。日本は世界で最も大腸内視鏡が盛んなのに、大腸癌死亡が全然、減りません。まずは、この点に疑問を持つべきです。
米国では「患者さんは自分が受ける内視鏡の精度を知る権利がある」という思想が定着しています。詳細は私のブログ記事をお読みください。
Q:費用が問題です。100%健康保険で高精度な大腸内視鏡は難しい?
A:欧米と比較して日本の内視鏡の健康保険点数は非常に低く、日本は世界で最も内視鏡が盛んな国です。日本の医療機関は、これに対して「薄利多売」で対応してきました。これは「粗製乱造」「流れ作業による雑な検査の大量生産」を生み出しました。これが日本の大腸癌が減らない大きな理由です。内視鏡で最もコストが、かかるのは「医師の人件費」です。そして「観察時間」と「検査の品質」は比例します。日本の平均的な観察時間は5分前後ですが、当院では30分以上を「保証」しています。平均的施設の6倍のコスト(医師の人件費)をかけているのが精度保証型・大腸内視鏡です。
Q:経験豊富で高い技術を持つ高名な医師に検査を受ければPCCRC=ゼロになりますか?
A:平坦な病変(Ub、Uc)の発見には経験と技術が必要です。しかし、これはPCCRC=ゼロの「必要条件」ですが「十分条件」でははありません。実は経験を積んだベテランほど見落としが多い、という驚くべき報告さえあります。(⇒2020年文献)。これは、ベテランになるほど、多くの検査を処理するようになり、一人当たりの検査に時間をかけなくなるからです。「大学病院で一番、見落としが多いのは教授、一番少ないのは研修医」という話もあります。
ある高名な大腸内視鏡の名医は政治家などのVIPの検査には1時間をかけますが、一般人の検査は3分で終わらせます。どんな名医でも、3分の検査では見落としが頻発します。技術以上に「医師がどれだけ丁寧に検査をしたか」も重要なのです。このような意味で言うなら当院の精度保証型検査では、全ての患者さんがVIPになります。
Q:観察に時間をかけると見落としが無くなるのは何故?
A:やみくもに時間をかけても何の効果もありません。「種あかし」をブログ記事「内視鏡は2回受けないとダメ? |」で解説しています。
Q:AIで医師の集中力低下を補えば、PCCRCをゼロにできますか?
A:メーカーはそれを目標に開発を続けており、数十年後には実現するかもしれません。しかし現状のAIにはPCCRC=ゼロに必要な能力は有りません。理由は明快で、大腸内視鏡の精度を決めるのは「モニターに映る病変の認識」という作業ではなく、「腸の屈曲の裏側をスキャンする」という手動作業だからです。ここはAIを使っても改善しません。
Q:拡大観察、NBIを使えばPCCRCをゼロにできますか?
A:いいえ。それらは検出されたポリープの「質的診断」の技術です。検出精度を上げる技術ではありません
Q:検出精度を上げるデバイスはないのですか?
A:様々な機器が開発競争されていますが、複雑になるとスコープ操作の障害になり「none is Winner」が実情です(⇒大腸癌最新情報)
Q:検査の「視野(カバー)率」を知る方法は無い?
A:はい。医師の「視野(カバー)率」は最近、研究されています。まだ「試験段階」ですが「大腸癌最新情報」で紹介しています
Q:苦痛無く短時間で内視鏡を挿入できる医師ならPCCRCをゼロにできますか?
A:いいえ。内視鏡挿入の技術と病変を発見する技術は全く別のものです。
Q:内視鏡切除手術(ESD)の名人に検査を受ければPCCRCをゼロにできますか?
A:いいえ。内視鏡手術と病変を発見する技術は全く別のものです。
Q:大腸癌を多く診断している医師に検査を受ければPCCRCをゼロにできますか?
A:いいえ。大腸の場合、癌の発見は容易なので癌発見率は精度の指標にはなりません。癌ではなくて良性の前癌病変(特に良性Uc)の検出が難しいのです。
Q:経験の多い医師、論文を多く書いている医師、専門医の資格を持つ医師、口コミで人気がある医師ならPCCRCをゼロにできますか?
A:いいえ。大腸癌を予防するのは「十分な時間をかけた丁寧な観察」です。医師の研究歴・肩書き・経験数・接客技術(口コミ)では、ありません。
Q:ある医師は検査の度に毎回、必ず小さなポリープを1個切除します。この医師に検査を受ければPCCRCをゼロにできますか?
A:いいえ。「小さなポリープを1個見つけて終わりにする」のと「小さなポリープを1個も残さずに切除する(クリーン・コロン)」は全く別の話です。
Q:ある医師は毎年、大腸検査を受けるよう勧めます。この医師に検査を受ければPCCRCをゼロにできますか?
A:極めてハイリスクなので適正で必要な検査を勧められているのか?その医師が「過剰検査」を勧める不良な医師なのか?答えは、その医師の腺腫発見率で判断できます。腺腫発見率が低いなら、その医師の行為は単に「雑な検査をして、見落とし対策に毎年の検査を勧めている」だけの過剰検診です。
Q:毎日、たくさんの件数の検査をしている医師(病院)の検査を受ければPCCRCをゼロにできますか?
A:いいえ。外科手術の場合は「件数と品質が相関」しますが、内視鏡の場合は相関しません。雑な検査を大量生産するhigh volume centerは珍しくありません。
「内視鏡の品質保証(Quality Assurance)」の問題は、鈴木のブログでも取り上げています。
内視鏡医師の成績表
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時短・低コストの内視鏡消毒