「見落とし」を可視化する「2D内視鏡」は革命を起こす 

大腸内視鏡の「精度の指標」として「発見率」が使われます(例;腺腫発見率=ADRUc発見率)。これは計算が単純で容易だからです

しかし、より重要なのは「見落とし率がゼロに近い」ことです。しかし、現実的に「見落とし率」を指標化することは困難です。

見えないもの(Blind Spot)を認識することは不可能に近いからです

最近、「Blind Spotを可視化する」画期的な新技術が英国のKing`s college Londonのグループから発表されました(下図)



スコープの形状を表示する装置(オリンパスのUPD-3など)を利用して(ここが普及の難点でしょう)、「腸管の形状」≒「スコープの形状」と近似して、屈曲部の陰のBlind Spotを予測します。
内視鏡画像(動画)は「長方形の単一な平面(パノラマ)」に変換されます。

いわば「2D内視鏡」です。


大体、20%ほどが「死角」になっていることが解ります



将来は、以下のように「内視鏡の死角の程度」が数字で指標化されるようになるでしょう





最近、AI技術を使った「内視鏡画像の3D再構築」の研究が盛んです。Pubmedで「3D Reconstruction of Endoscopic Image」で検索すると実に1000件以上の論文がヒットします

3D再構築された大腸内視鏡画像(2023年の文献より

しかしながら・・・3D化するとリアルタイムで人間の頭で理解するには、むしろ困難になると思います。3D化ではなくて、2D化(パノラマ化)の方がリアルタイム認識には適している訳で、私は「2D内視鏡」は大腸内視鏡に革命を起こすと予想します。