大腸癌は治療から予防の時代へ。
大腸癌はポリープから発生します。ポリープの段階で、内視鏡で切除してしまえば、大腸癌は100%予防できることが分子生物学的に証明されています。
前癌病変の半分は見逃され、検査の1年後に700人に一人に大腸癌が見つかる
しかし明らかになったことは・・・指導的施設でも重大な見落としが多いという現実でした。定期的な大腸内視鏡により大腸癌死亡率は半分になると報告されています。つまり、最終的に危険なポリープの半分が見逃されている訳です。日本の指導的施設では「700人に1人の割合で大腸癌が見落とされる」と報告されました。一方「精密な内視鏡を施行すれば大腸癌の見落としは4万人に1人になる」と東欧の内視鏡・後進国ポーランドより報告されました。
つまり日本の「トップレベルの医師」の見落としが、東欧の60倍も多いのです。なぜか?日本では大腸検査の件数が多すぎるため「品質の担保」が難しくなるという事態が起きているのです。 |
「腺腫発見率」で医師の技術レベルが判る。「抜去(=観察)時間」で、どれだけ丁寧な検査がされたかが判る。
大腸内視鏡では、腺腫(=危険性の高いポリープ)を、より多く発見して切除することが大腸癌の予防になります(詳しく・・)。そのため「腺腫発見率」を上げることが最も重視されており、欧米では「腺腫発見率公開の重要性」が議論されています。
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従って・・・ |
観察時間と癌の見逃し率は、「逆比例」する
内視鏡の観察時間とは「盲腸から肛門までの抜去時間」です。挿入の時間は短い方が良い訳ですが「抜去時間」は長いほど検査の精度が高くなります。 どんなに高い技術を持った名医でも、時間をかけなければ精度は大きく落ちます。日本では検査を希望される方が非常に多いため、専門病院では一人の医師が1時間に4〜6人の検査を施行するのが普通です。これが日本の内視鏡が見落としが多い原因と考えられています。(詳しく・・・・)
<この問題への当院の取り組み>
- 当院の最近の検査で算出した「腺腫発見率」を定期的に公開しています。( 資料;定期更新中)
- 1検査枠に30分の時間を当て、観察(=抜去)時間を記録した写真を検査後に患者さんに渡しています。(サンプル:実際の検査の模様)
この情報開示により患者さんは「腺腫発見率〜%の医師が〜分間、観察した」という数値で、自分の受けた検査の精度を知ることができます。単純ですが、これは非常に価値のあることです。万が一「見落としと思われる医療過誤」が起きた場合は、弁護士、他の専門医に提供される最も重要な情報(証拠)となるからです。
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大腸内視鏡検査の品質保証
欧米では大腸内視鏡の「品質保証(Quality assurance )」の議論が盛んです。これは「高精度の検査をすれば、数年間は癌にならないはずだから、保証をしなければならない」という意味です。
当院の全ての大腸検査には、このような「品質保証」が付帯します。世界的にも例が無い試みです。 詳しくは、こちらをご覧下さい
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当院の目指す「精密治療型」大腸内視鏡
大腸内視鏡には二つのスタイル(方向性)があります。
一つは短時間で大量処理を目指す方向で「低リスク病変」を治療対象から除外します。これは全体の効率という点では、優れた方法であり、現在の日本で主流のスタイルです。
そして、もう一つは時間をかけて「低リスク病変」も治療対象にするスタイル(クリーン・コロン化)です。欧米の富裕層が受ける内視鏡のスタイルです。
「低リスク病変」も治療対象にするのが当院の方針です。
なぜか?過去に「低リスクとされ放置された病変が実は高リスクだった」という医学の過ちがあったからです。(詳しく・・・)
そしてもう一つの理由は、 高精度の治療をおこない、検査の再検査間隔を延長するという方針が今日の欧米の主流だからです(詳しく・・)
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<超微小病変の例> 右はカルチノイド(悪性)、左は高度異型腺腫(癌化の一歩手前の段階)で、サイズは、いずれも2ミリ以下。 |
合併症(出血、穿孔)ゼロ・再発ゼロ・入院ゼロのポリープ切除
欧米で「精密治療型」が主流になった背景には「合併症ゼロのポリープ切除法(コールド法)」の開発があります。この方法では、「電気メスを使わない」で、従来法よりも「深く、大きく、切除」します。合併症が皆無でありながら従来よりも「再発が少ない」という利点があります。詳しく・・・・
腫瘍細胞が残らないように、十分に大きく・深く、切除します。