状況 検査の精度が大きく落ちる理由 考えられる対策 洗浄不良 便や粘液で平坦な病変が隠れます
- 下剤(洗浄液)を倍量、飲んでいただく
- CTコロノグラフィーを併用する(fecal tagging法という検査法では便がCTでは映らないために、残便の影響を受けにくいです)
憩室が非常に多い 憩室の中の病変は観察不可能です
腸管が硬く、拡張不良となります
憩室のため洗浄が不良になります時に進行癌でも隠れますが、確実に死角をゼロにする方法は無く、死角を無くそうと無理に頑張ると検査後に憩室炎を起こします(詳しく・・・・)
- 次の内視鏡検査を早めに受ける (有効性は疑問)
- 下剤(洗浄液)を倍量にする (ある程度、有効)
- CTコロノグラフィーを併用する(ある程度、有効)
- 便潜血検査を毎年必ず受ける (一番、現実的)
腸が非常に長く屈曲が多い、癒着が強く拡張不良、襞が深い 限られた時間で「襞の裏側」「屈曲部の裏側」を観察するのが困難です。
- 次の内視鏡検査を早めに受ける (有効性は疑問)
- CTコロノグラフィーを併用する(有効性は、かなり期待できます)
- 新しい内視鏡デバイスの開発に期待する
- 便潜血検査を毎年必ず受ける (一番、現実的)
腸の 収縮が強い 収縮すると襞の間が死角になります
- 腸の収縮を抑えるブスコパンをもう一度注射します。
大腸の手術を受けたことがある 吻合部は複雑な形状になっているために死角ができやすいです。癒着の為に不自然な屈曲ができます。 残念ながら確実に死角をゼロにする方法はありません
- 次の内視鏡検査を早めに受ける (有効性は疑問)
- CTコロノグラフィーを併用する(有効性は、ある程度は期待できます)
- 便潜血検査を毎年必ず受ける (一番、現実的)
痔がある。男性同性愛者。 肛門は保証対象外です 検査前の下剤で痔が一時的に悪化します。しかし痔の軟膏や座薬は絶対に使用しないでください。薬剤により直腸の観察が、できなくなります。肛門の診察について・・・・・
●2022年2月記事「内視鏡で見えない大腸の進行癌」もお読みください。
実際には1割前後の方が、何らかの理由で「観察条件不良」となります。そのような方に医師が「観察の難しい腸です」と警告をすることに意義があると考えます。そのような警告を受けた方はどうすべきか?
ポリープが少ない(=大腸癌のリスクが低い)方は、必要以上に気にしても仕方が無いと妥協して便潜血検査を毎年必ず受けるだけにするというのも合理的な選択です。リスクの低い方が大腸検診だけに過剰な投資をするのはナンセンスです。
しかしポリープが多い(=大腸癌のリスクが高い)方は、「CTコロノグラフィーを併用する」「次の内視鏡検査を早めに受ける」なども検討すべきでしょう。