医師から「早めの再検査」を指示された場合、いつ頃に受けるべきか?

この問題に対して正解はありません。極論を言うなら医師に尋ねること自体がナンセンスです。

しかし、次の検査時期を決める上での参考となる事実はいくつかあります。

(1)一般論ですが、発見されたポリープの数、今まで切除したポリープの数と、見落とされているポリープの数は「比例します」
つまりポリープが多く見つかった方は、見落とされているポリープがある可能性が高くなり、ポリープが見つからなかった方は可能性は低い、という意味です
これは国内外の多くの臨床研究で同じ結論が得られています。当院の保証システムのランクが「ポリープの数」を重視しているのも、この事実に基づいています。

(2)急速に発育するタイプの癌は「家系に癌が多い方」で「上行結腸」に多いことが判っています。
これは最近の大腸癌の遺伝子解析で得られた知見です。
専門的な話になるのですが、「家系に癌が多い方(特にHNPCC、SPS症候群)はDNAの不安定性が大きく、平坦なポリープ(SSAPタイプ)から発育する急速型が、上行結腸に発生する」ことが判っています。

従って、例えば「今回、ポリープはゼロだった。しかし家族に癌が多い。上行結腸に憩室が多く死角が多いと言われた」方などは、警戒が必要です

(3)大腸検査は1日がかりの検査であり、人生を通して、定期的に受ける必要があります。合理的・効率的な検診がベストで過剰な回数の検査は人生の損失(期待値が負)になります。
これは簡単な計算で、証明できます。以前、私が計算したことがあります。
私の計算では大腸内視鏡に費やす生涯の日数が「36日間以下なら利益の方が大きい」「36日以上なら損失の方が大きい」という予測になります。

(4)今回、切除した病変の再発の有無を確認をするためには、次回は6か月後以降とするのが合理的です。再検査の目的は「見落としへの対処」以外にも「切除した部分の再発の無いことの確認」もあります。万が一、細胞がわずかに遺残した場合、ある程度の期間をおいて「サイズアップ」させないと、内視鏡で見えないので確認になりません。この期間にも「絶対正解」は無いのですが、「再発の有無の判定は6か月後がベスト」と考える医師が多いと思います。癌化したポリープを切除した場合に「半年後再検査」が勧められるのも、このためです。

(5)憩室などの理由で「死角が大きい」場合、医師は、とりあえず早めの再検査を勧めます。しかし検査を何度、繰り返しても「見えないところは見えません」。例えば憩室の中に癌ができて腸管外に広がった場合は内視鏡で早期発見は絶対に不可能です。同じ検査を繰り返すよりも他の検査(CTコロノグラフィー、PET、腫瘍マーカーなど)を併用する方が理論的に死角は小さくなります。しかしながら、どのような場合にどのような検査を、どのようなタイミングで組み合わせるのがベストか?コスト・パフォーマンスは?・・・・残念ながらこの質問に答えるだけの経験も知識も現在の医学は持っていません。

(6)その他「頻回な腸洗浄で腸内細菌が変わりませんか?」「頻回にスコープを入れるのは体に悪くないのですか?」という質問も多いのですが、これらは無視できるレベルでしょう。