慢性胃炎とは?
急性胃炎とは?
ストレス、暴飲暴食、香辛料などの強い刺激が原因で胃の粘膜が傷つくのが急性胃炎です。基本的には一時的な現象で「自業自得」の病気です。数日で治ります。
慢性胃炎とは?
似ていますが、・・・急性胃炎とは異なり原因がなくても自然に進行する胃炎です。強い症状はないのですが、あたかも「持病」のように治ることなくゆっくりと何十年にもわたって進行します。原因は患者さんの不摂生ではなくてピロリ菌の持続感染です。
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胃炎の無い正常な胃粘膜(ピロリ菌陰性) |
慢性胃炎の方の胃粘膜(ピロリ菌陽性) |
急性胃炎は慢性胃炎に変わる?
NOです。ストレス、暴飲暴食等による急性胃炎が慢性になることはありません。慢性化はピロリ感染の時だけです。
よくある質問 |
よく胃が痛くなります。以前慢性胃炎とも言われました。ピロリ菌を退治すればよくなるのですね? |
<回答>微妙な質問です・・・「胃がもたれる」という方に内視鏡をおこなうと確かに慢性胃炎が見つかる事が多いのですが、因果関係があることもないこともあります。全員ではないのですが、除菌すると「もたれがとれて胃が爽快になった」という方もいます。この場合「症状の原因は慢性胃炎だった」と結論になります。しかし全ての方がよくなるわけではありません。ピロリ菌を除菌しても改善しない方も多いです。原因の多くは胃酸過多と胃の動きのリズムの失調で、正確には「慢性胃炎」ではありません。(専門的にはNUDといいます)
尚、慢性胃炎の症状は『胃がもたれる』程度のものです。「強い胃の痛み」は、慢性胃炎ではなく、急性胃炎または胃潰瘍になっている場合が多いです。
よくある質問(2) |
上記了解。しかし大変悩んでいます。ダメモトでもいいですからピロリ菌の検査・治療をしてください? |
<回答>現時点の保険制度ではピロリ菌の検査も治療も「胃・十二指腸潰瘍」のみに限定されています。残念ながら慢性胃炎もNUDも保険適応ではありません。慢性胃炎の方は「除菌の意義と副作用」を納得された上で個人の責任で自費診療にて検査・治療を受けるしかありません。
萎縮性胃炎とは?腸上皮化生とは?
慢性胃炎が進行して粘膜がうすく脆弱になった状態を萎縮性胃炎と言います。更に進むと細胞が変性します。メカニズムは不明なのですが胃の細胞があたかも腸の細胞のような性質に変わります(腸上皮化生)。この状態になった方は胃癌のハイリスクグループです
ピロリ菌以外の慢性胃炎はある?
時にピロリ菌の無い「原因不明の慢性胃炎」の方が見つかります。原因として3つが考えられます(1)腸上皮化生が進行するとピロリ菌が自然消滅することがある(2)「自己免疫」による慢性胃炎(非常に珍しい病気です)(3)ピロリ菌以外の未知の病原体による胃炎
ピロリ菌発見裏話
胃の中は強力な酸性のため、食物とともに口から入った雑菌は、全て胃で死滅する、胃の中は無菌であると信じられてきました。慢性胃炎も細菌感染ではなく、胃酸過多が原因と考えられてきました。日本は、先進国の中で最も胃癌が多く、胃カメラの研究・臨床で世界をリードする立場にありましたが、日本の医学者は、固定観念の呪縛からピロリ菌を発見できませんでした。海外でピロリ菌が発見された後も日本の医学者の反応は冷ややかなものでした。現在も欧米に比べると、日本は除菌が遅れていますが・・・・理由の一つに日本の専門家の「嫉妬」があることも否めません。
*ピロリ菌の感染ルートについて
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