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ピロリ菌は胃癌の最大原因

慢性胃炎自体はありふれた病気です。日本人の2人に一人がピロリ菌陽性です。

問題なのは・・・・

実は慢性胃炎は「胃がんの発生のもと」なのです。

慢性胃炎から胃がんになる方は一部です。

しかし・・逆には・・胃がんの大部分が慢性胃炎から発生します。

世界的に日本人に胃癌が多い原因は謎でしたが、現在は

(1)塩分の多い食事と

(2)ピロリ菌の国内集団感染・・・でほぼ説明可能と考えられています

そして・・・・

慢性胃炎の治療(=ピロリ菌の除菌)により胃がんが予防できる
ことが確認されました。

ただ予防効果は感染の初期(胃の粘膜が萎縮する前)は著明ですが感染の後期(粘膜が萎縮した後)では小さいです。

若い方の除菌が胃癌予防のキーワードです

ピロリ菌、と慢性胃炎、胃潰瘍、胃癌の総合サイト

胃がんは減っている?
これはよく誤解されます。検診により早期の胃癌が多く見つかり、胃癌の死亡率は大きく減少したのですが、胃癌の患者さんの数(発生率)は決して減っていません。日本人と胃癌との戦いはこれからが正念場なのです。

なぜ慢性胃炎があると胃がんになるのか?
実は慢性胃炎に限らず、私たちの体は「いつも炎症が続いていると細胞が変化しやすい(癌ができやすい)」ことがわかっています。炎症があると活性酸素が多量にできるため遺伝子が傷つき易いのです

慢性炎症と発ガン

潰瘍性大腸炎 大腸がんになり易い
慢性C型肝炎 肝臓がんになり易い
バレット食道炎 食道がんになり易い
慢性膵炎 膵臓がんになり易い
胆石(胆のう炎) 胆のうがんになり易い
痔瘻 肛門がんになり易い

胃炎から胃癌になる確率は?
ピロリ菌に感染していると年間0.4%の確率で胃癌になると統計的に予測されています
例えば50歳の方で余生を30年と仮定すると胃癌になる確率=30X0.4=12%と予測できます。
解りやすい比較を言うと、ピロリ菌は「煙草なみの発癌物質 (WHO=世界保健機構)」です。

ピロリ菌がなければ胃癌にならない?No Pylori , No Cancer?
厳密に調べると胃癌の患者さんでピロリ菌陰性の方は「非常に稀(1%)」です。・・・・ピロリが無ければ胃癌にはならないと言えます。


・・・・・・・・・・・・・・・・・わかり易く書くとこういう感じです

ただしこれは「ピロリ菌に長期感染した高齢者も除菌すれば胃癌にならない」というのとニュアンスが少し違います。どういうことか?以下をお読み下さい

ピロリ菌除菌による胃癌の予防
中国でおこなわれた大規模な比較臨床試験でピロリ菌除菌による胃癌予防効果が確認されました。日本でもいくつかの追試がおこなわれ、除菌により胃癌発生が3分の1〜6分の1に減るとの報告が相継ぎました

ピロリ菌の臨床試験の現状について・・・・

全員除菌すべきか?重い人だけが除菌すべきか?
感染者が非常に多いため世界的な傾向として「胃炎の程度の強い人(=潰瘍、進行した萎縮性胃炎の人)」を除菌の適応にするという意見が当初、出されました。また日本の保険では潰瘍の場合にのみ保険適応となります。

若い人が最優先で除菌すべき
しかしながら上記の中国の大規模臨床試験では「胃炎の初期の方、軽度の方(=若い方)」に、除菌による胃癌予防効果が大きいことがわかりました。これは、従来の考え=「重症の進行した胃炎の人が除菌の対象になる」という考えを根本的に変えなければならない知見です。

胃炎には「ターニングポイント」があるということです。胃癌を予防するなら「ターニングポイント」の前に除菌をする必要があり、「ターニングポイント」をすぎたら効果が小さいのです。

若い人でも、どのようなグループが検査すべきか?
ピロリは若いほど感染率は高くありません。ピロリの感染ルートは糞口感染(感染者の便からの感染)、と口口感染(感染者とのキスや鍋料理などでの感染)が考えられていますが、衛生状態のよい日本では後者が主な感染ルートと考えられており、最近は家族内感染の報告も見られます。
したがって・・・・「家族(長期に生活をともにした人)に慢性胃炎・潰瘍・胃癌の患者さんのいる若い方」が最も検査の意義が大きいグループと予測できます。

<よくある質問>
近所の先生にピロリ菌の除菌をお願いしたら「ピロリ菌は日本人はみんな持っているんだから共生しているんだ。治療の必要は無いよ」と言われました。どうなんでしょうか?

<回答>一時、ピロリ菌が日本人と共生したり腸内の善玉菌のように何かの利益をもたらしている可能性も言われましたが最近は専門家の多くは、このような意見に否定的です。またピロリ菌の中にも「強毒株」「弱毒株」があるのですが日本で流行しているのは大部分が「強毒株」です。

ワクチンは可能か?
過去の教訓から、国民に広く蔓延した菌を抗生物質で撲滅しようとしても、なかなかうまくいきません。耐性菌が必ず出現するのです。結核やポリオ、天然痘などがほぼ撲滅されたのはワクチンの業績です。
国民に広く 感染しているピロリ菌の撲滅もワクチンが期待されます。しかしながら最近の報告では(1)人に投与した治験で除菌が失敗した(2)アジュバンド(免疫賦活のために添付する毒素)の副作用が大きかった・・・・・とのことです。残念ながら既に感染した方がワクチン成功を待つのは得策ではなさそうです。

これ以上の研究に意義はあるか?
「胃炎が進行する前に若い人のピロリ菌を除菌して日本人の胃癌をなくすべき」というのが当サイトの主張で、エビデンスはもう十分と考えます。「胃癌とピロリ菌の関係は、もっと研究してデータを集めるべき」と考える専門家もいます。逆に言えば「ピロリ菌陽性者を除菌しないで放置して発癌率を、調べたい」とも言えます。一歩間違うと「国民を使った壮大な人体実験」になる危険があります。

日本から胃癌が無くなる日
(1)
ピロリ菌ワクチンによる予防(2)感染ルートの根絶(3)既に感染した人への早期除菌・・・・により胃癌は日本から無くなるのでは・・・と、研究者は予測しています。これは肝臓がんと同じ状況です。肝臓がんの最大原因はC型肝炎ウイルスで、その最大感染ルートは輸血です。現在、日赤が「献血血液から肝炎ウイルスの排除」を精力的におこなっており、これにより将来は日本から肝臓がんは無くなると予測
されいています。

慢性炎症の発癌のメカニズム(専門家向き)
Science(2004;306:1568-1571)に慢性炎症による発癌について画期的な研究が報告されました。マウスにピロリ菌を感染させて人工的に慢性胃炎、胃癌を造る事ができます。この発癌モデルで、胃癌は胃の粘膜細胞から発生するのではなくて、骨髄細胞(胃粘膜の損傷を修復するために動因された幹細胞)から発生することがわかりました。人間の胃癌でも同じメカニズムがあるのかはこれからの問題ですが、この研究と臨床知見を組み合わせると次のような仮説ができます。

「ピロリにより胃に傷ができる。傷がひどいと修復するために「幹細胞の動因」が起こる。ピロリ菌を取り除いても胃に動員された幹細胞は、やがて胃癌のもとになる。癌を予防するなら「幹細胞の動因」の前に除菌をしなければならない。」

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