除菌のあとに胸焼け(逆流性食道炎)が起きるのは次の理由からです
除菌により,胃の炎症が治まります。すると、胃酸の分泌が正常になります。もともと、体質的に胃と食道のつなぎ目が緩い方がいます(食道ヘルニアといいます)。こういう方は慢性胃炎のために胃酸が少ないときは胃酸の逆流(これが胸焼けです)が、気にならなかったのが,胃酸が正常化すると気になるようになります。つまり除菌後の胸焼けは胃が本来の機能になったことによる現象です。
したがって「除菌の副作用」「ピロリ菌の後遺症」と考えるのは適格ではありません。
この現象は「胃潰瘍の患者さん=体部に胃炎の強い方=高齢者」に見られますが、「十二指腸潰瘍の患者さん=前庭部胃炎の強い方=若い方」には見られません。「胃癌予防の点から若い方が除菌すべき」と主張しますが副作用の点からも「高齢者よりも若い方が除菌の優先度が高い」といえます。
実は逆流性食道炎は食道がん、噴門癌の増加原因にもなります(稀です)。
しかし、「ピロリ菌除菌によるメリット(胃がん予防)」は、「除菌で逆流性食道炎を起こすデメリット(食道がん、噴門癌を含む)」より、大きい(10倍以上)ことも疫学的に証明されています
今日では専門家の多くは「逆流性食道炎は除菌をしない科学的な根拠にはならない」と考えています。
逆流性食道炎の治療ですが・・・・・本質は胃と食道のつなぎ目が緩い体質なので根治は難しいです。症状がひどい場合は胃酸を抑える薬で胸焼けは緩和します。これは一時的な緩和で根治にはなりません。
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