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検査の偽陰性・偽陽性について

検査法は2つに大別されます

(1)ピロリ菌を間接的に調べる検査(抗体検査)・・・血液、尿、唾液の検査
(2)ピロリ菌を直接調べる検査 便の検査、呼気テスト、胃カメラを使う検査(顕鏡法、培養法、ウレアーゼ法)

(1)菌の抗体を調べる検査は菌が少なくとも陽性になりますが(感度が高い)、一度感染すると菌が消滅しても陽性のままです。疫学的な研究には抗体検査が採用されることが多いです。治療後の除菌の判定は(2)の検査が必須で抗体検査は不正確です

逆に(2)の検査は菌特異的な成分を検出します。したがって菌の量がある程度以上でないと検出されません。つまり、菌が少ないと「偽陰性」になることがあります。しかし、感染していないのに偽陽性になることは稀で、陽性は間違いなく「感染」を意味します


偽陰性は次のような場合に問題になります

  • 除菌の判定をおこなう場合は治療後期間をおいた方が正確です。除菌が失敗した場合でも薬を飲んだ直後は菌の量が一時的に減り「陰性」と判定されるからです。3ヶ月後なら、正確に判定ができるとされています。
  • ピロリ菌に感染した場合でも高齢者で胃炎が高度に進行すると(腸上皮化生)ピロリ菌は自然消滅することがわかっています。このような場合は抗体検査は陽性ですが当然(2)の検査では検出されません。しかしながらこのような方は「胃癌に非常になり易い」ことがわかっています。しかしながら残念ながら、除菌治療をおこなうメリットは小さいです。通常は副作用を考えて除菌はおこなわれません。進行した慢性胃炎かどうかは「ぺプシノーゲン検査」でわかります

    ペプシノーゲン検査
    血液でペプシノーゲンという酵素を調べることで慢性胃炎の程度がわかります。ピロリ菌検査が「病気の大元の有無」を調べる検査。ペプシノーゲン検査は感染の結果として「胃がどの程度悪くなっているか」を調べる検査と言えます


陽性の意味は確実だが陰性の判定は難しい(菌量がボーダーライン上にある方の判定)

一般的に(2)よりも(1)の抗体検査が、より多くの方が「陽性」となります。

「(1)の抗体検査は陽性だが(2)の直接検査が陰性」のグループ方が少なからず(数%)います。「過去に感染したが今は菌は消えたか、非常に少ない」方です。

話が難しいのは検査陽性の場合は感染(既往も含め)を意味しますが「陰性」は必ずしも未感染を意味しないという点です。
菌が少ないと検出されない場合(偽陰性)が多いのです。

以前は胃癌患者でピロリ菌陽性は7割程度と言われていました。しかし最新の精度の高い方法で検査すると99%が陽性と言われています。つまり29%も「偽陰性」だったわけです。

このような菌
が非常に少ない場合でも除菌の適応があるか?は議論の多い点ですが専門家の多くは除菌の適応は無いと考えています。 残念ながら胃癌予防に有効な手段はありません。まめに検診を受けて早期発見に努めるしかありません

そして、最近の内視鏡専門医の多くは「このようなピロリ菌が少なくなり除菌の適応も無くなった進行した胃炎の方たちを「ハイリスクグループ」と考え優先的に胃カメラを行うべき」と考えています