今週のUb、Uc型腺腫
表面型腺腫(Flat Adenoma)の中で、完全に平坦な物をUb、陥凹している物をUcと呼びます。平坦隆起型(Ua)よりも、発見が難しく危険な病変です。このタイプは「内視鏡後・大腸癌の重要犯人」であり、この発見率は「腺腫発見率」よりも、重要な意味があります。


専門的)何故、陥凹していると危険? 癌遺伝子の変異が蓄積すると細胞分裂が盛んになり隆起するのでは?と通常は思われるでしょう。しかし実際は逆です。これは2022年の記事にある「細胞はストレスに直面したら細胞分裂を止める(細胞老化に入り休眠する)という生命の基本的現象」によるものです(Oncogene Stress)。細胞老化を起こすのが癌抑制遺伝子で、この安全装置(ブレーキ)が壊れると癌になります(休眠からの覚醒)。ですから陥凹は「まだ癌では無いが癌化の直前」を意味します。特に「小サイズなのに陥凹している」病変は短期間に腫瘍進化(⇒2021年記事)が起きたことを意味します(=ゲノム不安定性
専門的)Uc=De Novo癌? 内視鏡の解像度が低かった時代、このような説もありました。しかし今日の高精度内視鏡では良性の微小なUc型腺腫が日常的に見つかります。私見ですが「Ucこそが多段階発癌(Adenoma-Carcinoma Sequence)のMain Route」と考えます。

毎週の検査(木・金・土・日)に発見されたUb、Uc型・腺腫を、その週の日曜の夜にUPし1週間、提示します。

 抽出の対象期間 2023年7月27日(木)〜7月30(日)の4日間(48件の検査)11件
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
写真公開について
当サイトは以前は「腺腫発見率」を定期公開していました。「Ub,Uc発見率」は検査の品質指標として、遥かに重要であり、医師にとっても非常にシビアです。定期公開の目的は、検査精度の維持です。これにより医師は常に、「Ub,Ucを見つける!」という緊張感・動機をもって、検査に望む訳です(Ub,Ucを探せば、他の形態の病変は容易に見つかります。「発見困難な腺腫」という趣旨なので形態診断学的には厳密ではありません)。
尚、患者さんの個人情報には細心の注意を払っていますが、写真を公開してほしくないという方はメールで御連絡下さい。直ちに削除いたします。




過去の資料
2023年7月20日(木)〜7月23(日)の4日間(48件の検査)で12件
2023年7月13日(木)〜7月16(日)の4日間(48件の検査)で8件
2023年7月6日(木)〜7月9(日)の4日間(48件の検査)で6件
2023年6月29日(木)〜7月2(日)の4日間(48件の検査)で8件
2023年6月22日(木)〜25(日)の4日間(48件の検査)で5件
2023年6月15日(木)〜18(日)の4日間(48件の検査)で4件
2023年6月8日(木)〜11(日)の4日間(48件の検査)で7件
2023年6月1日(木)〜4(日)の4日間(48件の検査)で3件
2023年5月25日(木)〜28(日)の4日間(48件の検査)で6件