「リチウム補強サプリ」がブーム! 

リチウムは「躁うつ病」の治療薬ですが、健康な人にも「精神を安定させる(文献)」「抗老化作用がある(文献)」「認知症を予防する(文献)」効果があると報告され、最近サプリがブームです。

  Nature+ハーバードでも!

その「極めつけ」は、2025年、ハーバードがNatureに発表した「リチウム欠乏がアルツファイマー病を起こす」という論文です。大きな話題になりました。

  大腸の専門家もリチウムに注目!

数年前に大腸ポリープの発生に関する「ポリクローナル起源モデル」という新しい理論が登場しました。「コペルニクス的な革命的理論」で、当院HPの「大腸癌最新情報」でも繰り返し取り上げました(⇒、)。

そして、この新理論に基づく「リチウムによる大腸ポリープ予防」の臨床試験が進行中です(文献)。

アスピリン、メトホルミンに次ぐ「第3の科学的ポリープ予防薬」になるのでは?と期待されています。

  微量元素仮説(生命のレアメタル?)

これは定説ではなく以前から論争が続いている仮説(珍説?)です。

同じ土地で繰り返し作物を育てる「近代農法」では作物の微量元素が欠乏すると言う説です。これは肥料には全ての微量元素が添加されていないからです。野菜だけでなく、そこで育てた家畜にも、これを食べる人間にも欠乏が起きます。マグネシウム、セレン、亜鉛、ホウ素などの欠乏が言われていますが、最も注目されているのがリチウムです。

  なぜリチウムが効くのか?

生物学に詳しい方なら「リチウムを必要とする酵素など無いはずだ。怪しい!」と思われたでしょう。実はリチウムはGSK-3βという酵素を「阻害」することで効果を出します。栄養素というよりも「毒」です。現代人で暴走気味の酵素を抑える「弱い毒が薬になる」という例です。

これは「過剰に摂れば中毒を起こす」ことを意味します。実際、精神科医は「血中濃度をモニターしながら」リチウムを処方します。

  サプリは勧めません(私見)

私は(1)欠乏しているのはリチウムだけではない(2)リチウムは、本来は「毒」であり中毒を起こし易い、という理由からサプリで補給することには反対です。ミネラルの宝庫である海産物から微量元素を補給するのが「最も自然」と考えます。特に内陸地方にお住まいの方は定期的に海産物を摂るように努めるべきでしょう。

 

<専門的補足>今後、Polyp予防試験:CHAMP-studyで有効性が確認されれば「大腸腺腫症(FAP)」の方を対象に血中濃度モニタリングをしながら本格的なリチウムの投与も始まるでしょう。精神科領域では0.6〜1.2 mmol/Lが目標値ですがCHAMP-studyの目標値は、その3分の1なので比較的、使いやすいでしょう。


【文責】 本郷メディカルクリニック 院長 鈴木雄久