「最低限の検診として」毎年の便潜血検査を強く勧める

 2019年のNatureに「大腸癌は検診で検出される段階よりも早く超早期転移する」という論文がありました(大腸癌最新情報 2019年8月)。これが事実なら便潜血検査は全く意味が無いということになります。ハイ・リスクの方は便潜血検査を過剰に信用するのは危険であるとも言えます

では、便潜血検査は「全く意味の無い無用の物」なのでしょうか?

答えはNOです。

ハイ・リスクの方は高精度な内視鏡を毎年、受けることが最も理想です。これは誰も異論は無いでしょう。しかし、大腸検査は1日がかりの検査であり、多忙な方には、これは現実的には難しい問題です。

そのような場合は「毎年の便潜血検査」は「最低限のセーフティーネット」として機能します。



では便潜血検査はの精度は内視鏡と比較して、どれくらい違うでしょうか?

「大腸癌の発見率」では大腸内視鏡と便潜血検査には
差はありません(詳しく

癌化する前の前癌病変(ポリープ)は便潜血検査では見つかりません。従って大腸癌を未然に予防しようと希望するなら便潜血検査は何の役にも立ちません。しかし大腸癌を発見することを主にするなら、便潜血検査だけでも、「最低限のセーフティーネット」になる訳です。