米国では「患者さんは自分が受ける内視鏡の精度を知る権利がある」という思想が定着しています。
大腸内視鏡の精度の指標として「腺腫検出率(ADR)」が使われます。
米国ではGIQuICという非営利機関がADRを監視し、これが医師の報酬評価にも使われ、成績が悪いと「内視鏡の資格停止」にさえなります。またGIQuICは検診間隔も監視しています(過剰検診の防止)。

しかし最近、医師が見かけ上のADRを上げる裏技を使っていることが問題になっています(⇒ADRのゲーム化)。
究極の成績表「Ⅱc検出率」「PCCRC発生率」
陥凹型(Ⅱc)検出率
Ⅱcは最も危険で見つけにくい病変です。大腸癌予防効果の点で、Ⅱc1個は通常の腺腫100個に相当します。
これは、「トップレベルの医師」専用の成績表です。初心者は「ゼロ」になり指標になりません。
稀なので「Ⅱc検出率」に裏技は不可能です。
但し第3者が検証できる形で(内視鏡写真とカルテ番号の公開)、「継続的に現在の成績を」公開しないと無意味です。
「当院で見つけたⅡcです!」と昔の写真を誇らしげに公開している医師は多いのですが、何の意味もありません。

内視鏡後・大腸癌(PCCRC)の発生率
これが「裏技不可能の究極の指標」であることに専門家は異論がありません。過剰検診を防ぐために「平均検診間隔」を明示することがベストです。
大腸癌の発見は容易なので「大腸癌の発見率」が高いことは高精度を意味しません。逆に「大腸癌発生=ゼロ」が高精度の指標になります。大腸癌を予防しているからです。
前の記事の「不完全切除」は検証困難な難問ですが、PCCRC発生率(最終アウトカム)でモニタリングできます。
問題は他の医療機関で診断されたPCCRCを、どうやって追跡調査するか?です。当院の「精度保証型内視鏡」は、この問題解決への試みです。「補償請求」によりPCCRCを追跡できるからです。
PCCRC発生率から興味深い事実が解ります。何と20年以上、改善していないのです!(⇒国内外のPCCRC報告のリスト)。ハードウェアが進歩しても最後は「腸の屈曲部の裏側をスキャンする」という医師の手作業が精度を決めるからです。

このような「精度指標で医師を監視する」システムは米国人が考え出しました。
「なぜ日本の内視鏡は負けたか」でも書きましたが、日本人の職人技は世界一ですが合理主義では米国人が世界一です。
当院の成績表
【文責】 本郷メディカルクリニック 院長 鈴木雄久