まず、以下のような場面を考えてみましょう
内視鏡検査を受けた方に見つかる4年以内の大腸癌は「前回検査のポリープの見落としが原因」と考えるのが合理的であるという声明が発表されました(文献)
但し「見落としが全て医師の職務怠慢」という単純な話ではありません。内視鏡後・大腸癌には「多くの除外規定」があり、専門家でも見解が分かれます。
内視鏡後・大腸癌は「表面化しにくい」傾向があります。しかし、厚生省の研究「Japan Polyp Study」で、予想以上の高い頻度(1年後に700分の1)で実在することが解りました。
このような事情から、最近は「内視鏡には見落としが多い」点を文書で説明する医師も多くなりました。
見落としの原因は何か?
「腸のヒダ、屈曲の裏側」憩室、残便などが原因となる「死角」が見落としの最大の原因です
この死角を無くすための様々なデバイスが開発されていますが、普及に至る決定的な物はありません(「None is Winner」と言われています)
二極化する大腸内視鏡
2010年のポーランドから下記の報告(NEJM )が話題になりました。ポーランド国民の大部分は日本や他国と同様に「流れ作業の内視鏡」を受け、その後に、かなりの確率で大腸癌になっているという内容です。
件数の爆発的増加により「流れ作業の内視鏡(麻酔で快適です)」と「高精度の内視鏡(時間も費用もかかります)」への二極化が今、世界中で起きている現象です
信用できるのは自分の目だけ
患者さんができることは検査中にモニターを自分の目で確認することです。
見落としは、必ず屈曲部やヒダの陰で起きます。ここを医師が丁寧に何度も往復しているか?これは患者さんでも、見れば大体、判断できます。
患者さんがモニターを見ない(見せてもらえない)検査は「受けないのと実質的に同じ」です。