子宮癌の原因=HPVウイルスを発見しノーベル賞を受賞したハウゼン博士の仮説を紹介します
『疫学的調査から大腸癌と牛肉の消費量は強い相関がある。当初は<タンパク質や脂肪が熱で変性して発癌物質ができる>と予想された。しかし、これは正しくない。羊・山羊・豚肉・鶏・魚など牛以外の肉は大腸癌を増加させないからだ。牛肉に含まれる「熱に比較的強いウイルス」が大腸癌の犯人と予想する。また牛肉は世界的に生食される唯一の肉であり、牛肉の生食と牛乳で感染の可能性は更に高まると予想する』(2015年 NatureのReview)。
・・・そして、遂に博士はプラスミドが犯人と報告しました。
これは前回の記事(PKSアイランドが大腸癌の原因)と「深い関係」があります。PKSのような病原性アイランドは「プラスミドにより伝搬される」ことが多いからです。
New Food Virus という概念(2018年レビュー)
博士の主張を要約しますと
「日々摂取している食料(特に乳製品)には、感染しても無症状で癌の原因になる、加熱しても失活しない病原体がある。」ということです
最も注目されているのはBLV(牛白血病ウイルス)です。
乳牛、肉牛の半分以上がBLVに感染しており普通に流通しています。「低温殺菌法」で、このウイルスは失活するので、人には無害と考えれれていました・・・・
しかし・・・人の乳癌に、BLVウイルスが検出されたという報告が相次ぎ、論争に発展しています。(2020年レヴュー)
さて・・・・研究は途上ですが、重要な傾向が見えてきました
野菜のウイルスがヒトに感染し病原体になったという報告もあり、「植物なら絶対安全」ではありません。しかし通常は「種が離れているほど感染は起きにくい」訳です。
新型コロナウイルスも「コウモリから人へ」の伝搬で生じましたが「食肉ウイルス」の研究は今後、重要な課題になるでしょう。