腸内細菌は大腸癌発生と深い関係があることは間違いありません
2017年の報告より
ヨーグルト(乳酸菌とビフィズス菌)は栄養と免疫の改善(特に小児)に有効です
これは
(1)本来は人間には消化できない植物繊維を炭水化物に変える<発酵>。つまり栄養吸収を上げる
(2)脂肪酸を産生して腸内を酸性にして細菌増殖を抑える。・・・からです
しかし先進国の栄養過剰の成人にも有益か?はエビデンスはありません。
「大腸癌の最大の原因は栄養過剰」ですから、栄養吸収を改善する発酵は大腸癌を増加させる可能性があります。
また,「乳酸が癌を促進する」という報告が、相次いでいます。(2017年 2017年CELL 2019年Nature 2020年 )
実際に人が乳酸菌やビフィズス菌を長期に服用することで大腸癌が減少するかを調べた2009年 の比較臨床試験では有益な効果は確認されませんでした。
2019年のNatureのReviewでは「乳酸菌とビフィズス菌に大腸癌予防効果があるという証拠は不十分である」と結論しています。
乳酸に変わって、最近、「癌を抑制する効果」が注目されているのが酪酸です。
乳酸菌とビフィズス菌は酪酸を作りません。そこで「酪酸を産生する癌抑制菌の探索」が最近の研究の主流になっています。
そして・・・
「明確な抗腫瘍効果を発揮する、酪酸・産生菌」が遂に2020年に見つかりました(ホルデマネラ菌 2020年のNature Microbiology)
「主役が乳酸菌から酪酸菌に代わるか?」・・・・これは、まだ解りません。しかし「Excitingな研究分野になった」ことは確かです。