大腸癌最新情報

意外に多い、ポリープの不完全切除⇒大腸癌policy&FAQ

policy&F

はたしてポリープは取り残しなく完全に切除されているのか?
この問題は実用的な測定法が無いために長い間「ブラックボックス」でした。

ポリープ切除の7%〜21%が「不完全切除」であるという報告があります(文献

大腸内視鏡の後に見つかる大腸癌(内視鏡後・大腸癌)の20%が、(見落としでは無くて)ポリープの「不完全切除」が原因という報告もあります(文献

電気メスを使用しないコールド法は偶発症が少ないのですが当初から遺残・再発が最大の問題でした。

遺残・再発をゼロにするために「周囲のマージンを確保し大きく切除する」必要があります。

「控えめなコールド法」に比べると明らかに偶発症の頻度が高くなる傾向があります(自験例でも同様です)・・・ここの是非は医師の間でも議論があるところです

しかしながら・・・いつも、このような綺麗な「目玉焼き」ができる訳ではありません。実際はワイヤーが、うまくかからずに「分断」「分割」になったり、カンシを併用することも多いです。

患者さんの立場で言うなら、「ポリープ切除後の写真」をしっかり確認することが重要です。


<文献>
  • ポリープの「不完全切除率」は内視鏡を施行する医師により大きく差がある。これは「腺腫発見率」「抜去時間」とは別の独立した「格差」である(2018年文献
  • Polypectomy Competency(完全切除)の標準化が重要である(上記文献へのレヴュー 2018年
  • EMR法はコールド法よりも「不完全切除」の危険性が低い(2018年文献
  • しかしながら全てのポリープ切除をEMR法にする・・・のは現実的に無理である(上記文献へのレビュー 2018年
  • 2200人の「高悪性度ポリープ」を調査。15%が「不完全切除」であり、そのうち20%が「局所再発」した(2017年文献
  • コールド法で切除した「潰瘍周辺」を、EMRで「再切除」して調べると4%に遺残があった(20017年 大阪)。この4%という数字は従来の高周波電流を使用した場合と差は無いと言われています。2018年の日本の多施設・比較前向き試験(CRESCENT study)でも、コールド法は従来の通電切除と比べて不完全切除の危険性は変わらないと報告されています(2018年 文献
  • コールド法で遺残の有無の確認には「切除部の観察」が最も重要である(2017年 上記文献へのレビュー
  • コールド法で遺残の有無の判定に、検体の病理による診断は限界がある(2017年文献