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院長
鈴木雄久
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当院が開院してからの歩みは、日本の大腸内視鏡の進歩そのものです。平成13年、当院開業時、「いかにして苦痛なく内視鏡を挿入するか?」が専門医の課題でした。この頃に当院を受診される方の大部分が「苦痛の無い検査」を希望して来院されました。
そして「高レベル消毒・プリオン(狂牛病)対策・使い捨て処置具」が欧米で重視されると当院は早期に導入しました。特にプリオン問題に対しては、十分な対策を取ったのは国内では当院だけです(詳しく)
現在、このような動機(苦痛、消毒、プリオン問題)で当院を選択される方は少数です。プリオンの問題も下火になり「苦痛・消毒」に関しても全国に水準の高い内視鏡専門施設が多数、存在するからです。
そして現在の大腸内視鏡の最大の課題は「精度保証(Quality assurance)」です。現在、当院を受診される方の大部分が「以前に他で受けた検査は全く苦痛が無くあっという間に終わったが・・・どうも、信用できないので再検査してほしい」という理由で来院されます。詳細は「検査の精度」に記述していますが、この問題は極めて難しい問題です。大腸内視鏡をライフワークにする私の「人生最後で最大の課題」になると考えています。
学会発表、論文、著書(筆頭著者のもののみ) 1989年に東大を卒業し2年間の初期研修後、内視鏡開発の中心となった研究室(第一内科第八研究室)に入局しました。今後の消化器学には遺伝子の知識が必須であるという指導者の勧めで東大医科研で2年間、癌遺伝子の研究に専念しました(下記リスト、1〜2)。現在では大腸ポリープの取り扱いに癌遺伝子の知識は極めて重要であり、この時の基礎研究の経験は非常に役立っていると実感しています。
その後、大学の関連病院で大腸内視鏡に専念しながら8年間で臨床の発表を18回ほどおこないました(下記リスト4〜21)
この8年間に個人の専門クリニックや症例数の多い専門病院で修練し大腸内視鏡の技術を完成させ2001年(平成13年)に当院を開業しました。
開業後は発表はおこなっていません。開業後は大学時代に比べ遥かに多くの症例を経験しており機会があればと思ってはいるのですが・・・・日々の内視鏡検査に追われ学会の時間が確保できないというのが実情です。
1、1994年 Analysis of AP-1 Function in Cellular Transformation Pathways JOURNAL OF VIROLOGY, June 1994, p. 3527-3535. Vol. 68, ,
2、1994年 「レトロウイルスベクター(supFps.supJun)による癌の遺伝子治療の可能性の検討」 東大医学部学位論文
3、1991年、「重症アルコール性肝炎」 肝臓学会地方会
4、 1995年、「下痢を主訴にした直腸潰瘍」東京GUT CLUB
5、1996年、 「食道静脈治療後の大量下血」 第63回内視鏡学会地方会、
6、1996年、 「15番染色体に異常のあるCOWDEN病の一例」 第51回内視鏡学会
7、1996年、 「大腸粘膜下腫瘍の検討」 第62回内視鏡学会地方会、
8、1996年、 「大腸ポリペクトミーにおける予防的クリッピングの検討」 第52回内視鏡学会、
9、 1996年、 「分類不能大腸炎と木村病」第242回消化器病学会関東支部会、
10、1997年、 「サイクロスポリンによる潰瘍性大腸炎の治療」 第53回内視鏡学会、
11、 1997年、 「下血と静脈瘤治療」Prg・DIG・ENDOSCOPY VOL50、p310、
12、1997年、「Cowden`s disease 」Journal of Gastoroenterology 1997;32 696
13、1997年、「治療に成功した大腸悪性リンパ腫(MLP)」 第54回内視鏡学会、1997
14、1997年、 「消化性潰瘍への遺伝子学的アプローチ」 カレントテラピー、1997 VOL12、NO10
15、1998年、 「予防的クリッピングの検討(続報)」 第56回内視鏡学会、1998
16、 1998年、「炎症性腸疾患の治療」Annual Revew 1998消化器
17、1998年、「慢性胃炎の治療」 南山堂 「治療」1998年増刊号
18、 1998年、「消化管運動改善薬」消化器内科1998年別冊「消化器治療薬」
19、1999年、「Cowden病の遺伝子解析」東京GUT CLUB
20、 1999年、「「大腸内視鏡ストレート挿入法の検討)」、第58回日本内視鏡学会
21、2000年、「大腸内視鏡ストレート挿入法の検討(続報)」、、第59回日本内視鏡学会