新型コロナウイルスへの当院の方針  院長 鈴木雄久

内科を診療していない当院は呼吸器感染症の方は来院されません。しかし全く無症状の感染者が一定の割合で実在します。クリニックであれ、レストランであれ「人が集まる場所は全てウイルスで汚染されている」という前提が重要です。ここでは「症状が全く無く、濃厚接触者でもない方で胃癌・大腸癌のリスクのある方」への当院の検査の方針を御説明します。

このウイルスは消化管に入っても無症状(あるいは下痢をする程度)ですが、肺に入った場合に致死的になります。従いまして胃の検査と大腸の検査ではリスクが全く違います。

理論的に胃カメラは感染リスクが無視できません。当分の間、胃カメラは「必要性の高い方のみ」に限定します。
このウイルスは、鼻腔・咽頭・気道・小腸に強く感染します。このウイルスは内視鏡の消毒(高レベル消毒)で滅菌されますが、消毒後のスコープに環境中のウイルスが付着するリスク」から、理論的に胃カメラは感染の危険性が有ります。このウイルスが完全に収束するまで、胃カメラは「必要性の高い方のみ」に限定します。通常の胃癌検診は「ABC検診またはバリウム検査」にすべきと考えます。

理論的に大腸内視鏡の感染リスクは高くありません。中止する科学的根拠は無いと考えます。
このウイルスは小腸には、よく感染しますが大腸には感染しません。これはこのウイルスの感染に必要な膜タンパクTMPRSS2Furinは気道や小腸には大量に発現していますが大腸には僅かしか(杯細胞のみ)発現していないからです(事実上、大腸での発現は無視している報告が多く、感染実験でも感染は小腸に限局しています 文献 文献)。
繰り返しになりますが、このウイルスは現在の内視鏡の消毒法(高レベル消毒)で完全に滅菌されます。「
消毒後のスコープに環境中のウイルスが付着するリスク」はゼロではありませんが、対策(下図)を十分にしたなら、そのリスクは「他人の作った料理を滅菌せずに口に入れる(例えばデリバリーで弁当を購入して食べる)」リスク以下と考えます。


スコープは一検査毎に滅菌消毒(過酢酸10分)され、危険性が最も高いポリープ切除の器具は新品使い捨てです。

待合室・トイレで「患者さん同士」の感染対策は、大体、飲食店などの他業種と同じです。
スタッフ全員、マスクと手袋を着用しています。患者さんにもマスクの着用を強く御願いします。また、希望される方には手袋も、お渡しします。換気のためドア、窓は開けており騒然としており、塩素系消毒薬の匂いが不快かと思いますが御了解下さい。
トイレはウイルスの感染の危険が最も高い場所です。ウオシュレットは使用不可です。下剤は原則として御自宅での服用を勧めます(これは感染対策のために、当院は以前から行っていた方針です)

海外在住の方の検査
東アジア型(タイプB  弱毒)と欧米型(タイプC 強毒)では毒性が大きく違います。更に東アジアでは「ウイルスの弱毒化(専門的に言いますとORF8欠損株)」が始まっています。日本は東アジア圏では「死亡率が最も高い国(欧州型が比較的多い)」です。以上から、現時点で東アジア圏(+東南アジア)在住の方の検査の制限は全く意味がありません。しかしながら、欧州、南北米、豪州、南アジア・在住の方の検査は、もう少しの間、制限させていただきます。

尚、大腸の検査も胃の検査も「患者さんからスタッフへ」感染する危険性は相応にあります。
人体に感染したウイルスは最後は便で排出されます。これはコロナウイルスに限らず、多くの病原体に言えることで、内視鏡室のスタッフはプロとして学会のガイドラインに従い自らの感染防御をおこなっています(ユニヴァーサル・プレコーションと呼ばれます)

私は以前、東大医科学研究所(かっての伝染病研究所)ウイルス研究部に在籍しウイルス学で最も権威のある「Journal of Virology」に学位論文を提出しています。以上が現時点での私の考えです。