コロナウイルス感染が判明したが治癒した方の大腸内視鏡検査の御予約について

当院の独自の方針としまして
(1)症状が入院を要しない軽微の方は、陽性確認後50日後から
(2)入院を要する症状があった方は退院後50日後から

内視鏡可能な期間とさせていただきます。御了解、御願い申し上げます。

この問題について、現時点で正式なガイドライン、指針、ルールは有りません(専門家も正解を知らないのですから、ルールを作りようがありません)。

「現在の内視鏡の高レベル消毒で、このウイルスは完全に死滅する。誰もがいつ無症状で罹っていてもおかしくないのだから感染された方を区別する意味は無い(ユニヴァーサル・プリコーション)」という意見もあります。一方、「感染症法の2類に分類されている以上は、他の感染症より特別な注意をすべきである」という意見もあります。

以下は複数の報告の要約です(レヴュー
(1)呼吸器系に比べると便中ウイルスPCRを調べた報告は少ない。その意義を重視する(感染の原因になる)意見と重要でない(ウイルスの分解物であり感染性は無い)という意見があり統一した見解は無い
(2)便中ウイルスの排出(PCR陽性)は呼吸器系からの排出よりも長期になる
(3)便中ウイルスの排出は必ずしも症状とは関係ない。無症状で下痢・腹痛などの消化器症状が無くても便中ウイルスが陽性のことがある
(4)臨床的に治癒と判定され通常の社会生活を送っている場合でも、しばらく便中ウイルスが陽性なので家族への感染を防ぐために衛生面(トイレ)での注意が必要であると思われる。


便中のウイルス排出(PCR)の期間を調べた報告は以下のようなものです
(1)2020年9月の報告 最長は 発症後 32
(2)2020年3月の報告 最長は 発症後 31
(3)2020年7月の報告  陰性化までの平均は発症後34
(4)2020年7月 咽頭からのPCR陰性になった後6〜10日間は便のPCRは陽性
(5)2020年12月 咽頭からのPCR陰性になった後、最低24日間は便のPCRは陽性

これらの報告を踏まえ、2週間ほどのマージンを確保して上記の目安(50日)を当院の独自の方針としまして設定した次第です。