始めに

当院は、パソコン画面上で検査の予約をとり、後日、細胞検査の結果の説明もメールでおこない検査当日1日の来院で全て完結するという方針をとっています。これは合理的なシステムなのですが、健康保険でおこなうためにいくつかの条件が必要です。

(この方針は平成18年12月9日からです。これ以前に既に予約を取られた方には以前(予約時)の条件で、健康保険適応です。)


次のような方は「健康保険」で大腸内視鏡検査が行えます
  1. 市民検診、職場検診、便の郵送検診、その他の方法でで便潜血陽性となった方
  2. 当院または他の病院で、過去にポリープを切除し、「次はOO年後に再検査しましょう」と言われている方(通常1〜3年後:下記参照)
  3. 既にポリープが見つかって大腸内視鏡検査を勧められた方
  4. 既に何らかの大腸疾患(潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患など)の診断を受けて医師より大腸検査を勧められた方
  5. PETで大腸にシグナルが検出されて大腸検査を勧められた方
  6. その他、様々な理由により医師より大腸検査を勧められた方

次のような方は「健康保険」で胃内視鏡検査が行えます

  1. 既に他の医療機関、市民検診などでレントゲン検査、血液検査などで「要胃カメラ」とされた方
  2. 当院または他院で既に「ピロリ菌陽性の慢性萎縮性胃炎・胃潰瘍」との診断され、「定期的胃カメラ」を勧められている方
  3. その他、様々な理由により医師より胃カメラを勧められた方

同様に前医療機関からの紹介状があればベターですが、必須ではありません。医療機関の名前がわかれば十分です。

大腸と異なり「胃のポリープ」は癌化の危険はなく「胃カメラの必要性」は非常に低く健康保険適応が難しい場合が多いです。胃で大事なのはポリープでなくピロリ菌です。(詳しく

 

上記条件に該当しない方は、健康保険の適応外(法定の医療費の10割、全額負担)となります。御了承ください。また、「胃カメラと大腸検査を同日に受ける場合」は、理由の有無に関わらず胃カメラは検診とみなされ、健康保険の適応外(10割負担。約1万5千円〜2万円前後)となります。別々の日で受けていただくなら問題ありません。

当院は「健康保険の適応条件」が他の病院よりも厳密です。次のような事情によるものですので、ご理解を、お願いします

現在の日本において内視鏡を受ける場合「健康保険」の問題は避けて通れません。内視鏡は日本の胃癌・大腸癌対策の主役で今まで「日本の医療のエース」でした。欧米と比較すると日本は「気軽に安価に内視鏡を受ける」という風潮があり、これにより早期癌が多く発見され、日本の内視鏡は世界をリードして来ました。・・・・・・しかし、最近は「医療費抑制」が政府の重要課題となり、高額な内視鏡は「問題視」されるようになりました。

当然、当院のように内視鏡件数の多い施設は、政府機関の審査も厳しくなります。これは、仕方ないことです。極論を言えば、国民全員に胃と大腸の内視鏡をおこなえば・・・日本から胃癌・大腸癌で亡くなる方は、無くなりますが健康保険も「破産」します。

内視鏡の使命は無症状の段階での早期発見でありますから、「健康診断との境界」は常に曖昧です。また検査を受ける立場からは誰も「件数(経験)の少ない医師に受けたい」とは思いませんから、どうしても特定の医師に「集中」します。

当院が政府機関から厳しく審査されるのは「患者さんが積極的に検査を希望する」からであり、これは当院には「大変名誉」なことです。

赤字の国公立病院で研修医に検査を受けるなら、このように煩く制限されることは、絶対に、ありません。・・・・・当院は内視鏡の保険制度の問題でも「最先端」を行っていると言えます。


世界最初の内視鏡検診(昭和39年、越谷で私の先輩達がおこないました)・・・・・内視鏡で検診をすれば癌が早期発見できるというシステムは、日本が始めたもので当時は世界中の医学会から注目されました


ポリープ切除後の再検査間隔について詳しくはこちらを・・・・

  • 最初の切除の後、1〜2年後に再検査します。これは「最初の検査で見落とされた病変の確認」を、するためです。なお、ポリープが癌だった場合は「取り残し」の確認のため、もっと早く再検査します。
  • 2度目の検査でポリープが無ければ、見落としは無いと判断され「クリーンコロン」とされます
  • クリーンコロンになった方は「腸が完全に健康になった」と判断されます。後の検査間隔は患者さんの「危険度」で違います
  • ポリープが大きかった、癌化していた、多発していた、大腸癌家系・・・・・・などが「大腸癌の危険因子」です
  • 便秘症、下痢症、よく腹痛を起こす、ストレスが多い、酒・タバコが好き、憩室がある、痔がひどい・・・・などは「危険因子」とはされません
  • 「危険因子が多い」方は1〜2年毎の検査が安心です
  • 「危険因子の少ない」方は3〜5年毎の検査で十分とされています。