ピロリ菌の除菌がいよいよ始まりました!

平成12年秋から、日本でも健康保険でピロリ菌の除菌ができるようになりました。わずかの費用(約3千円)で3種類の薬(胃酸を抑える薬と2つの抗生物質)を1週間、飲むだけで7割以上の方がピロリ菌を退治できます。

ただ、全ての患者さんが除菌の適応になるわけではなく、患者さんに混乱がしょうじているようです。解説しましょう

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適応は潰瘍の方のみ。潰瘍のない「感染患者さん」は適応にはなりません

これは医師の間でも議論になるところですが・・・・医療費をあまり大きくできないという事情のため、健康保険の適応となるのは「胃・十二指腸潰瘍」の方のみになりました

潰瘍の無い方も除菌した方がよいのか

ピロリ菌が慢性胃炎をおこし胃癌の原因になることがわかっています。しかし慢性胃炎の方が全て胃がんになるわけではありません。ほんの一部の方が不幸にして癌化するのです。しかし・・逆には・・胃がんの大部分が慢性胃炎から発生します。胃癌予防を目的としたピロリ菌除菌が有効か?現在、研究中で最終結論はでていませんが、最近、胃癌発生が、3分の1〜6分の1に減るという報告が複数施設よりありました。ただ、除菌すれば絶対、胃癌にならないと言うわけではありません。ピロリ菌以外にも「塩漬けの食品」「魚の焦げ」など、胃癌の危険因子があります。

自費で除菌することも可能

潰瘍ではないが胃癌が心配、研究の結果を待っていられない、今すぐに除菌したい・・・・という方には健康保険は使えませんが「自費」で除菌するという選択肢もあります。費用(自由診療の料金は医師が自由に決めてよいため、施設ごとに異なります。相場は1万円〜5万円と幅があります)と薬の副作用(といっても下痢くらいですが・・)、を納得の上、治療しましょう。

自由診療による除菌について(裏話)
厳密には保険診療をおこなう通常の医療機関が、自費診療(自由診療、保険外診療)をおこなうのは「混合診療」といいまして「違法行為」とされています。ただ、医学的に正しい治療については、医師の判断にゆだねられ黙認されるのが実情です。ピロリ菌の除菌は潰瘍患者さんの除菌が保険適応になる前から、広く混合診療で行われてきました。問題は価格と副作用です。
自由診療の料金は医師が自由に決めてよいため、施設ごとに異なります。除菌薬の納入価格(原価)は6〜7千円です(例 ランサップ400は1シート897円x7日分=6279円)これに「処方、服薬の指導料、診察料(=医師の利益)」が、上乗せされます。医師が自由に決められるといっても、やはり「良識の範囲」がありますので、5万円以上の料金は、どおかと思います
除菌の副作用で重篤なものは多くはありませんが、万一の場合、自由診療は「保険適応外治療」とされ、患者さんは製薬会社に対して損害賠償を請求することはできません。患者さんはこの点を了解しておくべきです(これはサプリメントと同じです。副作用がでても、一切販売会社は補償をいたしません)

自由診療とは逆に胃の小さなびらん(炎症)を強引に潰瘍と診断して保険で除菌するという「裏技」もあります。しかし、これは患者さんが(1)胃がんのハイリスクであり(2)経済的に余裕がない・・・場合は「黙認」されるかもしれませんが、厳密には「不正行為」です。

 

 

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