ウイルスへの消毒液効果判定の問題点

ウイルスへの効果判定は難しい
ウイルスの場合は問題がより複雑です。そもそも、「最初から生きていない」ウイルスへの消毒の効果判定は想像以上に困難です。 ウイルスの活性は培養細胞にウイルスを感染させて細胞の変性を見るのですが、 感染細胞株の無いウイルス、感染しても細胞が変性しないウイルス(例えばC型肝炎ウイルス)は、消毒の効果を調べるのは非常に困難です。
現実問題として「数が多く
3万種、実験が困難な」ウイルス全てについて消毒の効果を確認することは不可能です。

本当に危険なのはウイルス
暴論かもしれませんが、細菌感染は抗生物質で完治しますから、消毒効果は99%あれば十分と考えます。それ以上の消毒にコストをかけるよりも、不運に感染したら治療にコストをかける方が合理的です。

しかし、ウイルスの中には一度感染したら、遺伝子に組み込まれて子孫にまで影響するものもあります。
私は消毒の最大ターゲットはウイルス(特に処置具の通るチャンネル内のウイルス)と考えます。その中でも「既知および未知の発癌ウイルス」こそが真の脅威で消毒の目的はこれ以上でも、これ以下でもないと考えます。


現在、人間を発癌させる病原体はB型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、パピローマウイルス、EBウイルス、HTLV1、ヘルペスウイルス(HHV8)、ピロリ菌です。このうちピロリ菌以外は全てウイルスです。一方、動物の癌の原因は、多くがウイルスです。人の発癌ウイルスは少ないのですが、これは人の癌にウイルスの関与が小さいというよりも、感染実験がおこなえないため人の発癌ウイルスは「発見されにくい」と考えるのが合理的です

「ウイルスは消毒に弱いから脅威ではない」と思っている方も多いでしょう。エイズやB型肝炎ウイルスは、確かにそうです。これらのウイルスは表面にエンベロープという脂質膜をもっており化学薬品(消毒)で容易に変性するのです。
エンベロープを持たず、固い結晶のような小型ウイルスは細菌以上に消毒に抵抗性です。上述のウイルスではパピローマウイルスが、これに相当します。

パピローマウイルスと癌について

調べられた範囲では現在の消毒薬で、既知のウイルスには何とか有効なようです(下記参考資料)。しかし、未調査のウイルス未知のウイルスまで確実に死滅させるために・・・・ステリスシステムは過剰ともいえる消毒法を採用しています。

一度は、すたれた(?)酸性水を採用するのも、このためです。酸性水(次亜塩素参酸水)には殺ウイルス効果という点では高い評価があるからです。

なお、私(=院長の鈴木)は学位を「発癌ウイルスの研究」で取得しており(東大医科研ウイルス部)、内視鏡と同時に発癌ウイルスも専門分野です

参考資料
現在の消毒薬の中で過酢酸は細菌に対する効果が最強と考えられています。細菌の中で「最も消毒に強い」と言われるBacillus(芽胞)を、見事に1分で殺しました。しかし、ポリオウイルス(上記のエンベロープを持たないウイルス。小児麻痺の原因)を2.5分では殺せず、5分(=日本の標準的消毒時間)で殺しました。ウイルスが想像以上に消毒に強いことがわかります。(以上、アセサイドの発売元サラヤ社資料より)

 

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