消毒の「盲点」・・・ここの内容は専門的です。
消毒システムは「1点の盲点」で破綻します
「消毒には多くの盲点があり、盲点を無くすためには、様々な「工夫」が必要です。

<1>洗浄機にセットする前の予備洗浄について・・・


自動洗浄機では、超音波洗浄(アルカリ洗剤)とマイクロバブル洗浄(酵素洗剤)をおこないます。

機械洗浄を補強するために洗浄機にセットする前に流しで手洗いし、チャンネルのブラッシングをおこないます。

ここは原始的なステップですが、実は、最も大事な点です。

十分な洗浄があって、はじめて消毒薬の効果が完全になります。有機物が残り凝固すると「バイオフイルム」を作ります。こうなると、洗浄機も無力で、強力な消毒薬でも殺菌が失敗します。


ポイント(盲点)は以下の2つです
(1)検査終了後時間をおかないで予備洗浄する。時間が経つとチャンネル内の汚れが固まります。検査終了後、直ちに検査台のすぐ隣に設置された流し(写真)
、手洗いと、チャンネルのブラッシングをおこないます。


汚れの飛散防止に特注のシールドで囲まれた洗浄用流し。
 


(2)処置具の通る内視鏡チャンネルは一番のCritical Pointです。

全検査後、全チャンネルを、ブラッシングします。

有効なブラッシングの目安は、一般的には「観察のみの場合は1回、細胞検査などの処置をした場合は2回」とされています

これを「プラス1回」して「観察のみの場合は2回、細胞検査などの処置をした場合は3回、汚染高度の場合は5回」のブラッシングを、おこないます

またブラシは1日に2回新品に交換します。これはブラシの毛の性能低下を防ぐためです

 

<2>無菌的な病理検体取り扱い


一般に使用される「生検操作盤」(使い捨てではないもの)

細胞検査、ポリープ切除をおこなった検体(B)は「ろ紙(C)」に貼り付け、ホルマリン瓶に入れて病理検査に出されます。これらの作業は汚染の危険性が非常に高く操作を無菌的におこなう必要があります(検体を採るのが1回だけなら問題ありませんが、複数個採る場合は・・・処置具が汚染されます)。当院では使い捨て処置具(A)が入っていた包装の袋(D)を利用して無菌操作をおこないます。

 

<3>内視鏡から体内洗浄用に水を送水するのですが、これに使う器具は全て1件ごとに強酸性水消毒します

検査中は腸管内を洗浄・観察するため多量の水を使用します。
この水は上記の洗浄用流しと別の清潔用流しから採水します。

 

<4>感染の原因になり易い「ゴムかんし栓」は、処置がおこなわれた後は破棄。(再使用しません)

 

<5>汚染が高度な吸引ボタンは内視鏡と別ルート(フタラールで一晩浸潤)で消毒。

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