処置具につきまして
処置具とは細胞検査やポリープ切除を、おこなう器具です。これらは粘膜を傷つけますからメスや注射針と本質的に同じで、内視鏡本体よりも遥かに厳しい消毒が必要です。
昔、資源が乏しかった頃、日本でも注射針やメスが消毒後再使用されていました。しかし、今日では「使い捨て」が標準です 内視鏡処置具(細胞検査をする器具)の先端部です。処置具は、実は注射針やメスと、同じものであることがわかります 理論的に滅菌消毒で生き残る病原体は、無いので滅菌消毒でも問題はありません。しかし「新品使い捨て」の方が、より安心感が大きいのは確かで米国では「使い捨て」が、一般的です。これは「消毒の確実性は、100%ではない(ヒューマン・エラーの危険が潜んでいる)」という考えからです
問題はコストです。
処置具は定価が、1個 5千円~1万円の費用がかかり、更に日本では「保険外費用を実費負担する(混合診療)」が認められていないため「使い捨て」の普及の妨げになっています。(米国で「使い捨て」普及している理由は内視鏡の費用が日本の10倍以上だからです)
これについては過去に武勇伝も作りました。当院は「内視鏡を介したプリオン伝播の危険」が欧州で問題になった頃に、非常に早い段階で「新品使い捨て」の導入に踏み切りました。費用を当院が負担するのは不可能なので患者さんから別途、納入実費をいただきましたが、やがて厚生省より「混合診療に当たる」との理由で数回の監査を受けることとなりました。これは競合する同業者からの告発によるものでした。使い捨て器具の販売開始から、この問題は日本ではコストの問題でした。一時は新聞が「使い捨ての内視鏡手術器具を使い回しをする病院が多い」という問題を報道し、話題になりましたが全ては高コストが原因で起きた問題でした。
しかしながら、その後(1)使い捨て処置具を製造販売するメーカーが複数になり価格競争ができるようになり(2)当院の件数が非常に多いために、一括大量購入による価格交渉ができるようになり、現在は発売開始時とは比較にならない廉価で納入できるようになりました。
そして、現在は鉗子(小さいポリープを切除する器具)、スネア(大きいポリープを切除する器具)、等のポリープ切除器具は全て「新品使い捨て」としています。(患者さんの費用の負担は一切ありません。)