「精度保証検査」を受けられた方で・・・・数年後に、他医療機関で大腸癌の診断が下された場合は、当院で速やかに内視鏡で確認をさせていただくことをお願いします。

この検査に掛かる費用は一切不要であり、治療に差し支えないように至急に施行します。

また、遠方の方は当院への交通費を、当院で負担します。

この検査の目的は癌の診断を当院でも確認するということだけではありません。以下のような重要な意味があります。


まずこの検査は大腸内視鏡の進歩のための医学の貴重な資料となります。

全ての大腸内視鏡検査の内容は動画として保存されています(詳しく

以前にポリープを切除した傷跡は目印として残ります。これは大腸の中を地図のように分ける指標になります。

最新の検査の動画と、以前の検査の動画を比較することで、大腸癌があった場所に以前は何があったのか?が解明されます。

高精度な検査をしても何故、大腸癌が予防されなかったのか?そこには、どのようなポリープがあったのか?これを解明することは、現在、大腸内視鏡専門医にとって、「最も重要な課題」なのです。




それだけではなく患者さんにとっても極めて重要な意味があります。

動画として記録されるのはポリープだけではありません。憩室、癒着などが記録されています。

大腸癌が予防できなかった理由が(1)単純にポリープの見落としが原因なのか?(2)前回の切除が不完全だったのか?(3)それ以外の原因(癒着、憩室など)によるものか?(4)根本的な体質的要因によるものか?が解明されます。

「なぜ、今回、癌が予防できなかったのか?」をしっかり解明しないと・・・・手術後に定期的に内視鏡を受けても、また大腸癌になる危険性があるのです。

原因が解明されれば、この癌を手術した後に、将来、再び、2度目、3度目の大腸癌の発生を予防する手段が立てられる可能性があるのです。

例えば「憩室があったためにポリープが隠れ癌を予防できなかった」ということなら手術の際は「憩室の部分を残さないように切除したほうが良い」という方針が立つ訳です。

最悪の場合として「癌を予防できなかった原因が特定できない。極めて早期に腫瘍ができる特異な体質のようである」という結論になれば「大腸の広範囲な摘出を考慮した方がいい。また遺伝子検査も望ましい」という可能性も検討されます。

これについては責任を持って手術を担当する外科の先生に宛てた詳細なレポートを作成してお渡しします。



大腸癌は遺伝性、体質性の非常に強い癌です。今ある癌を手術すれば全てが終わるということはありません。残った大腸に2度目の癌ができないようにするにはどうするか?御家族、特にお子さんに大腸癌の遺伝的リスクはないのか?という視点で癌と戦う必要があるのです。