始めに
肛門癌はHPVウイルスが原因で、かっては「男性同性愛者に特有の癌」とされていましたが、細菌は、女性に増加し「女性の癌」と、認識されるようになりました。
当院で発見された早期の肛門癌
「前癌病変の発見と除去」こそが、内視鏡の第一の意義です
良性の前癌病変とは大腸癌でしたらポリープです。では、肛門癌も、ポリープが前癌病変なのでしょうか?
NOです。
AIN(=Anal Intraepithelial Neoplasia)と呼ばれる病変が肛門癌の前癌病変です。
(1)AINは内視鏡では解らない(下図)
癌にかなり近い「High Grade AIN」では認識できますが初期は認識不可です
(2)AINを切除しても肛門癌を予防できない。
AINを治療しても再発率が高く、癌へ進展することがありまうs。
見える大きなAINを切除しても、周囲にウイルス感染細胞が存在するからです。
(3)重要なのは免疫力
実は我々は皆、一度はHPVに感染していると言われています。
しかし癌になるのは、極一部の人で、免疫が低下している方です(AIDSの方や、免疫抑制剤を使用している方)。
子宮頸癌や肛門癌の患者さんと同じ数だけ陰茎にHPVが感染した男性がいるはずですが、実際は陰茎癌は非常に稀です。
これから免疫によるウイルスの排除が重要だと解ります。
AINも免疫で排除される(自然治癒する)ことが解ってきました。
AINの切除に免疫賦活剤を併用すると有効です。塗り薬のイミキモド(商品名べセルナ、アルダラ)が使われます(文献)。
まとめ
(1)内視鏡で初期病変(AIN)の発見は困難で、切除も効果が少ない
(2)有効な対策は検診では無く、HPVワクチン
(3)個人の問題ですが、「ワクチンを打たない肛門性交」の危険性を認識すべきです。