肥満が医療の重大対象になる時代
20世紀に「肥満の治療」と言えば「美容外科」の専門で、怪しい医療というイメージがありました。しかし、今日、東大病院にも「肥満専門外来」があり、「肥満を治療することは癌を早期発見するのと同じ位重要な治療」というのが医師の常識となりました。
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解明された食欲のメカニズム。しかし内科的治療は挫折
食欲は「ホルモンが脳に作用して」起こります。この食欲を起こす物質が多数、解明されました。最も重要と言われているのはグレリンとレプチンです。 これら以外にも20個ほど見つかっています。当初は「食欲ホルモンを抑える薬は痩身薬になる」と考えられ多くの薬の開発競争がありました。・・・・しかし、その多くは治験の段階で開発中止になりました。理由は、大体似ています
- 食欲を無理に抑えると、うつ病、自殺の副作用が多く起こる
- 薬を中止すると、リバウンドが強く、服薬前よりも食欲が非常に強くなる
食欲は睡眠や生殖と同じ、最も原始的な本能であり、これを抑制する薬物で「安全な薬」は無いのではないか・・・・・と最近は専門家は考えています
肥満の外科治療の有効性が確認された
これに対して「肥満の外科治療」も開発されました。これは「脂肪の吸引」ではありません。「胃を小さくする手術」と「小腸の吸収を抑えるためのバイパス手術」があり、様々な方法が開発されました。下のグラフで、解るように「年が経つと、徐々に体が慣れてきて再び食欲が上がる」傾向があるのですが、「薬物治療は限界があり、肥満の治療は手術が最も有効。10年は効果が続くので成人病予防にも十分」というのが専門家の一致した結論として出ました
手術が有効なら・・・・当然の流れとして・・・・「内視鏡でも、できる」というアイデアが生まれます。
下にアニメで「肥満の内視鏡治療」を解説します。ポリープ切除などと比べて極めて容易な手技であり、今後、ダイエット目的に美容外科などでも盛んに試行されると予測されます。胃癌の手術で胃を半分にした方が手術後に痩せることを我々は、日常的に見ており、この方法は、その「胃を小さくする程度」が調整できる訳ですから、専門家から見ても「安全で合理的な痩身法」と思います
しかしながら、胃を切除した患者さんは「スタミナが無くなった」と悩む方も多いです。メタボリックシンドロームの治療は「働き盛りの世代の成人病を防ぐ」経済医療と言うべきものです。このような方法で強引に体重を落としても「国民の活力が低下」しては本末転倒です。
つまり「中年男性の肥満が増えた根本」は「仕事のストレス」であり、ストレスの管理をしないまま、強引に胃の中に風船を入れても「常に胃の違和感」を感じ、心理的ストレスは、かえってひどくなるはずです。「問題の本質は風船で解決するような簡単なことか?」これが今後の課題でしょう・・・・・・若い女性のダイエット目的なら、おそらく今後広く普及するでしょうが・・・・(文責:本郷メデイカルクリニック 鈴木雄久)
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