内視鏡・COM・医療事故カンファレンス

事故のあらまし
レントゲンで異常無しといわれたが半年後に進行癌に。

血便が出たため近医を受診し,大腸内視鏡をおこなった。しかし,子宮の手術をしており癒着があり,内視鏡が途中までしか入らなかった。後日あらためてレントゲン検査をおこなったがヒダと屈曲が多くわかりにくい腸であった。「異常なし。半年後位したら再検査」の指示をうけて終了した。半年後,激しい腹痛のため緊急入院。進行大腸癌による腸閉塞であった。手術がおこなわれた。

なぜ事故(見落とし)が起きたか?
大腸は胃と異なり「ヒダ」がたくさんあります。また(特に腸の長い方は)屈曲した腸管が何重にも重なります。そのため大腸検査には死角ができることがあります。死角はレントゲンでも内視鏡でもありますが,内視鏡の方が死角が少ないのが通常です。しかし,癒着が強いと内視鏡が奥まで入らないことがあり,このような見落とし事故が起こることになります。

腸管の重なり 腸管のヒダ
解説
「大腸検査の見落とし」は昔から専門家の議論になる問題です。様々な要因が原因となります。腸の重なり,腸のヒダ,便の残り,多発する憩室などが複合して見落としを生みます。内視鏡の方がレントゲンよりはるかに見落としが少ないのですがそれでもヒダの裏側は内視鏡の弱点で見えにくい部分です。専門医はただ挿入するだけでなく,「いかに見落としを無くするか」も研究しています。内視鏡を腸管内で反転させたり,広角の内視鏡を使ったり,内視鏡の先にCAPを付けたり(下図)といった工夫をしています。
  内視鏡の先に透明CAPをつけるとCAPでヒダをめくり,裏側も見ることができます。
アドバイス
これは結局のところ医師の熱意に頼るしかありません。検査前に,医師に「ヒダの裏側もなるべく見てください。」と遠慮せずにお願いしましょう。内視鏡検査時に患者さんも医師と一緒にモニターを見ていましょう。医師が「細神経質な方だな・・・・」と感じるくらいが,ちょうど,よい検査になるはずです。