よくある質問・・・どのような場合に緊急で検査を受けるべきか。

当院の検査予約は1〜2ヶ月待ちです。そのため患者さんからは「今、こういう症状なのですが検査は至急が必要ですか?2ヶ月待てますか?他の病院を受診すべきですか?」とのお問い合わせが多いです。

残念ながら、これは「検査をしてみないとわからないこと」です。

ここでは「参考となる医学的一般論」を述べます。ただし、あくまでも一般論であり最終的には患者さんの自己責任で決定していただくことになります。

胃癌を非常に強く疑う症状
体重が急激に(10キロ以上)やせてきて、便が墨のように黒い。貧血が進行している。胃レントゲン検査で医師から「至急に精密検査必要」との判断を受けた。腫瘍マーカー(CEA)が非常に高い(10以上) ・・・このような方は診察に来てください。診察の上、至急で予約を確保します

胃癌の可能性もあるが他の病気の可能性もある症状
胃が痛い。胃が重い。もたれる。食欲が無い。胸焼けがする。ゲップが良く出る。体重が少し減った。便がやや黒い。軽い貧血がある。胃レントゲン検査で医師から「精密検査必要」との判断を受けた。腫瘍マーカー(CEA)が少し高い(10以下) ・・・このような場合は緊急性の有無の判断は医師にもできません。

 

大腸癌を非常に強く疑う症状
便全体が赤黒い血便が搾り出されるように少しづつしかしか出ない。そのため1日に何度もトイレに行く。普通の黄色い太い便は全く出ない。貧血が進行している。大腸レントゲン検査で医師から「至急に精密検査必要」との判断を受けた。腫瘍マーカー(CEA)が非常に高い(10以上) ・・・このような方は診察に来てください。診察の上、至急で予約を確保します

大腸癌の可能性もあるが他の病気の可能性もある症状
便潜血検査が陽性とでた。便に一部血液が混ざっている。下腹部が痛い。下腹部が重い。ガスが溜まりお腹がはる。便秘と下痢を繰り返す。排便時に腹痛がある。便が細い。体重が少し減った。軽い貧血がある。大腸レントゲン検査で医師から「精密検査必要」との判断を受けた。腫瘍マーカー(CEA)が少し高い(10以下) ・・・このような場合は緊急性の有無の判断は医師にもできません。

検診を受けた方は・・・・

検診の便潜血陽性になった方は
便潜血陽性だけで大腸癌の有無を判定することはできません。便潜血陽性の方の3%に大腸癌が見つかります。つまり97%は癌ではありません。逆に大腸癌の半分以上が便潜血陽性はみられません。従いまして「便潜血検査は参考程度」にしかすぎません

検診の胃ペプシノーゲン検査陽性になった方は
これは「慢性胃炎」の検査です。「慢性胃炎があるので胃癌になりやすいです。胃カメラを、お勧めします」という意味です。直接的に胃癌の存在を示す検査(胃癌の腫瘍マーカー)ではありません。

PET検診で胃、大腸が陽性になった方は
胃と大腸は異常が無くてもPETでシグナルが出ることがあります。必ずしも癌を意味しません。胃、大腸癌へのPETの信頼度は、まだ未知数で十分なデータはありません。

一般的な検診の間隔について
一般論として大腸は3〜4年毎、胃カメラは1年毎の検診が「合理的」言われています。大腸癌は「ゆっくり進行型」がほとんどです。しかし胃癌は大腸と異なり癌ができるスピードが速いです。厳密に言うなら胃カメラには「検査後の保証期間」はありません。スキルス胃がんという「極めて超急速(時に1〜2ヶ月で)に進行する癌」が あるからです非常に稀に大腸にもスキルス癌ができますが、これはもう「運が悪かったと 諦めるしか無い」稀な癌です。