始めに
大腸検査は1日がかりの負担の大きい検査です。過剰な回数の検査は人生の損失です。(これは簡単な計算ですぐに証明できます。)
賢明な患者さんはリスクと費用のバランスを計算して合理的な大腸検査の間隔を決断すべきです。
以下の表は、現時点で最も代表的な大腸内視鏡検査の間隔を定めた米国のガイドラインです(資料)
内視鏡検査の所見 推奨される次回大腸内視鏡の時期 ポリープが無い。または小さな過形成ポリープのみ 10年後 危険性の低いポリープを切除(10ミリ以下 and 1〜2個) 5年後 危険性の高いポリープを切除 (10ミリ以上 or 3個以上 or 高度異型腺腫) 3年後 ポリポーシス(多数のポリープができる特殊な体質)、例外的に危険性の高い特殊な場合 1年後
実は、患者さんが「自分が受けた検査は精度が高いか?雑か?」を簡単に知る方法があります。
医師が「来年も、大腸検査をするべきだ」と勧めたなら、どんなに高名な医師でも、検査が雑だったことを意味します。十分、精度の高い検査がされたなら医師は、このガイドラインに近い間隔を勧めるはずだからです。
しかしながら、このガイドラインも「絶対に大腸癌にならない期間」を保証したものではありません。「精度の高い検査をしたなら、この位の間隔が最も賢明な選択である」という確率的な目安を示したものです。
さて、上記ガイドラインと当院の「補償システム」は、どういう関係なのか?を説明します。
ランク ポリープの数 1年以内に
大腸癌2年以内に
大腸癌3年以内に
大腸癌4年以内に
大腸癌5年以内に
大腸癌6年以内に
大腸癌A 0個 1億円 8千万円 6千万円 3千万円 2千万円 1千万円 B 1個 9千万円 7千万円 6千万円 2千万円 1千万円 500万円 C 2個 8千万円 6千万円 5千万円 1千万円 500万円 100万円 D 3個 7千万円 5千万円 4千万円 500万円 300万円 50万円
検査終了後、患者さんには「上記ガイドラインに準拠した次回の検査の目安」を説明します。
例えば、ポリープが3個、見つかった場合は「次回は3年後位を、勧めます。また保証はDランクになります」という内容を文書で、お渡しします。
気になる症状が出たりして心配になれば、早めの2年後に再検査を、されても、いいです。「3年間は当院で検査をしてはいけない」という意味ではありません。もし、それで癌が見つかれば5千万円の補償になります。掛け金として4万5千円をいただいていますから「2年以内に癌になる可能性は千分の1以下であることに責任を持ちます」という意味です。
逆に御多忙で6年後の再検査になる場合もあるでしょう。それで癌が見つかれば50万円の補償になります。「6年後に癌が見つかった場合は、推奨時期を3年もオーバーしており高額な補償はできません。しかし6年前の検査で微小なポリープを見落としていると思うので50万円の慰謝料を、お支払いしましょう」という意味です。
つまり「医師として、ここまでは責任を持ちますが、ここからは責任を持てません」という「線」を示したのが、上記の支払額の表です。
そして、実際に、次回、いつ検査をするか?これは患者さんの責任で決めることになります。
あるいはポリープがゼロでも「子供が小さいので自立するまでは毎年7万円で検査を受けよう」というように「大腸癌保険」として利用する選択もあるでしょう。
年間7万円の保険料と仮定すると、民間の「がん保険」では支払われる金額は100〜200万、掛け捨ての生命保険なら死亡補償額は1500万円が相場ですから、当院のシステムを民間の保険と比べるなら「破格」です。