合理的な「大腸検査の間隔」とは?

大腸検査は1日がかりの検査であり、大腸癌リスクの低い方が毎年、受ければ「検査の利益」よりも「検査の不利益(経済的・時間的損失)」の方が大きくなります。

大腸癌リスクと利益・負担を比較して「確率的な意味」で最も合理的な検診間隔を決めようというのが「ガイドライン」です。

ただし、これは「絶対に癌にならない期間」という意味ではありません。


現在、欧米の標準的なガイドラインは以下のように「内視鏡の結果」でリスクを分けて次回の推奨時期を決めるというものです。


内視鏡検査の所見  推奨される次回
大腸内視鏡の時期
 ポリープが無い。
または小さな
過形成ポリープのみ 
 10年後
 危険性の低い
ポリープを切除
(10ミリ以下
   and 1〜2個)
 5年後
危険性の高い
ポリープを切除 
(10ミリ以上
or 3個以上
or 高度異型腺腫)
 3年後
ポリポーシス
(多数のポリープができる
特殊な体質)、
例外的に危険性の
高い特殊な場合 
 1年後

日本と比べると「
リスクの低い方には過剰な検査を勧めるのは悪である」という考えが根底にあります。

また急速に発育する稀な癌・見落としに対応するために、これに「
毎年の便潜血検査」を併用するという方法が主流です。


これに対して、現在の日本のガイドラインは以下のような画一的なものです。欧米のような詳しいガイドラインを作るべきと議論されているのですが結論が出ていません。
内視鏡検査の所見  推奨される次回
大腸内視鏡の時期
 腫瘍性ポリープを
切除した
全ての患者さん
 
 3年以内
(1〜3年)