ポリープ切除により、その後の大腸癌をゼロにできるか?
その限界を調べるために厚生省の臨床研究「Japan Polyp Study」が行われました。一般の方2767人に、最初の内視鏡でポリープを全て切除し、その1年後に、2度目の内視鏡をします。結果は、4人の方に進行癌が見つかったと報告されました(2767分の4=700人に一人) 。

 




1年後で700分の1なら、2年後、3年後はどうなるか?


残念ながらJapan Polyp Studyでは長期的なフォローについてのデータは公表されていません

しかし米国では、日本より20年先行して同様の調査が行われており(National Polyp Study)、米国からは長期データが公表されています

そこで明らかになっていることは

(1)定期的に内視鏡を受けていても「内視鏡後・大腸癌」の頻度は、ほぼ一定(直線的に累積される)である。つまり、1年後で700分の1なら20年経てば、およそ「700分の1 × 20=35分の1」になる

(2)生涯、定期的に内視鏡を受けていても大腸癌死亡率は内視鏡を全く受けない人の半分だった。つまり死亡率が半分に減ったが、半分は救命されず結局、内視鏡は無駄だった





米国の研究(National Polyp Study)より


文献 N Engl J Med 1993; 329:1977-1981

文献 N Engl J Med 2012; 366:687-696
この表で「定期的に内視鏡を受けた人」というのは均一ではなく色々なグループの混合になります。中には心配だからとリスクが低くても、毎年検査を受けた人もいれば、時間が無くて医師の指示通りに検査を受けなかった人もいます。