肛門癌の検診 高解像度肛門鏡検査(HRA=High Resolution Anoscopy)





肛門癌は、かっては「男性同性愛者に特有の癌」と認識されていましたが、米国では、高齢女性に増加し(文献1 文献2 文献3)、女優のファラフォーセットが死亡した頃から「女性の癌」と、認識されるようになりました。

HRAでは子宮癌検診で使用する「コルポスコピー」を使います。肛門科の診察で使う、一般的な肛門鏡とは全く違う検査です。

手技は子宮頸癌の検診と同じで、酢酸とヨードを使用し、40倍拡大で顕微鏡観察と詳細な細胞診をおこないます

胃腸科、肛門科でなく「コルポスコピーの経験の豊富な婦人科の医師」が実施すべき手技です

但し、「コルポスコピーの経験の豊富な婦人科の医師」が、更に数年のトレーニングが必要と言われています。

米国では施行施設が増えているようですが、医療費は「極めて高額」です(8400ドル)。日本では、杏林大学国立医療センターで「男性同性愛者」に対して試験的に施行されていますが、一般の方は受けられません。

そもそもHRA検査による「肛門の検診」の有効性に対して専門家の多くは疑問を持っており、現時点で比較試験による有効性は証明されていません。HRAを広めるよりもHPVワクチンを推進すべきという意見が多数派です(資料)。