大腸癌の腸で減少している2つの「善玉候補菌」の研究の概要


クロストリジウム(butyicum 酪酸菌) の大腸癌予防効果を調べた研究
クロストリジウムは代表的な「抗生物質副作用の大腸炎」の原因となる菌です。しかし、この菌の中でも特殊な「酪酸産生型(クロストリジウム・ブチリカム)」はミヤイリ菌と呼ばれ、日本で発見され、「下痢症の治療薬(プロバイオテックス)」として使われていました。2018年の腸内細菌メタゲノム解析で、この菌が大腸癌で減少していることが解りました。また「酪酸の大腸癌予防作用」を重視する最近の流れから、この菌が大腸癌を予防する可能性が注目されています(2019年のNatureの腸内細菌のReview)。が、現時点でミヤイリ菌の大腸癌予防効果を調べた報告はありません。

ストレプトコッカス(thermophilus
乳酸菌)の大腸癌予防効果を調べた研究

これも、上記と同様に「下痢症の治療薬(プロバイオテックス)」としてビフィズス菌と併用して使われ有効性が確認されています(文献
2018年の腸内細菌メタゲノム解析で、この菌が大腸癌で減少していることが解り、大腸癌を予防する可能性が注目されています(2019年のNatureの腸内細菌のReview)。この菌を使った「新タイプ・ヨーグルト」をマウスに投与した報告が2016年にありましたが、現時点で人の大腸癌予防効果を調べた報告はありません。


他に Roseburia , Akkermansia , PropionibacteriumFaecalibacterium などが癌化に伴い減少することが解っており「善玉候補」と考えられています(2019年のNatureの腸内細菌のReview)。更に2019年のNatureのプロバイオティクスの Reviewでは、これにEubacteriumも善玉菌候補に加えていますが、現時点で大腸癌予防効果を調べた報告はありません。


まとめますと

最も多くのヨーグルトに使われる、ラクトバシラス菌(乳酸菌)やビフィズス菌が大腸癌の方の腸内で減少しているという報告はありません。しかし一部のプロバイオティクスで使われているミヤイリ菌ストレプトコッカス乳酸菌は大腸癌で減少しており「大腸癌予防・善玉菌」である可能性があります。しかし、確実なデータはありません。また、他にも「5種の候補」がありますが・・・・研究は進んでいないようです。