腺腫が異常に多い「軽症型ポリポーシス(aFAP)」とは?
腺腫が100個以上ある場合、「腺腫症(ポリポーシス)」と診断されます。この場合は、治療方針は一つしかありません。「予防的大腸全摘手術」です。
しかし腺腫が10個〜99個の場合は「軽症型の腺腫症=aFAP」と診断されます。この場合の治療方針は、直ちに手術にはなりません。
「予防的大腸全摘手術」は非常に負担の大きな手術であり、内視鏡(ポリープ切除)で頑張るか?を総合的に判断します。
その場合は、毎年の内視鏡が必要で、毎回、多数の腺腫を切除し続けることになります。
ただ、現実的には判断が難しい場合も多いです
「当初は腺腫が20個位と診断し、内視鏡(ポリープ切除)でいけるだろうと予想したのですが、最初の10年は、毎年、ポリープ切除を繰り返し何とか『制御』されていたのですが、加齢とともに腺腫の数が増えていき、ついには微小な腺腫が100個以上になり『制御不可能』と判断され手術を勧める」という方もいます。あるいは
「当初は内視鏡(ポリープ切除)でいけるだろうと予想したのですが、加齢とともに憩室が多発するようになり(憩室の中は内視鏡の死角になりますから)、手術が望ましい」という結論になる方もいます。
「予防的大腸全摘手術」は非常に負担の大きな手術であり、最初は、まず医師も患者さんも「内視鏡(ポリープ切除)で頑張ろう」と、どうしても考えるのですが・・・結局は手術が選択されることも少なくありません。
あるいは、逆に「最初の内視鏡で大型の腺腫が多発し、『これは手術がいいかな…』と思った方でも、数回の内視鏡後は、小さな腺腫が1〜2個しか出なくなる(落ち着いてくる)」場合も多いです。
専門的な話になりますが・・・
aFAPの方は「生まれつき、最初の遺伝子(WNT=APC遺伝子)に異常があります。しかし、第2、第3のステップの遺伝子(増殖因子、PI3K、TGF、p53)は個人差があります。極論を言うなら「p53の最後の防御壁が非常に強力な人」は腺腫がたくさん出来ますが、大腸癌にはならない訳です。
「腺腫の数が多いか?」は重要な因子なのですが、単純にそれだけではなく「癌の多い家系か?」「タバコを吸うか?発癌物質に暴露される機会が多いか?」などの要因も大きい訳です。