ではde novo癌は皆無か?というと、ゼロではありません
下記の写真は、ともに当院で見つかった「Uc病変」と呼ばれるものです。(右はVsPit良性、左は腺腫成分無しの早期癌)
また私自身は、今まで「大腸の未分化癌(スキルス癌)」を2例、経験しています。
これらは、おそらく「数個の僅かの遺伝子変異で急速に癌化した大腸癌(=De novo 癌)」なのではないかと想像します(遺伝子解析の報告が無いので想像です)
しかし、問題は、そういうことではありません
問題は・・・
日本では「De novo 癌が大腸癌のメイン・ルートである」と信じられていることです。
(1)私の経験から「Uc病変(=De novo 癌)」は非常に稀です。学会でも専門医が「Ucの症例報告」をしている位であり、稀です。腺腫、鋸歯状病変由来の癌に比べれば圧倒的に「稀な存在」であり、診療方針の上で最重点病変ではありません
(2)遺伝子解析が容易になった現在でも「De novo 癌のゲノム解析」をしたという報告は一つもありません。つまり「幻の癌(医師の想像の産物)」だったということです。

右のような病変が短期間で左のような癌に変わるのだろうと想像されています