内視鏡消毒液、使い捨て処置具の費用につきまして

始めに

近年、内視鏡検査が病気感染の原因になるのではないかという指摘があります。専門家は知っていることですが「消毒の厳格さ」は施設間でのばらつきが大きいのが実情です。当院は専門クリニックの義務としてこの問題を最重要視し、患者さんに「もっとも厳格な消毒法」を保証します。患者様には以下の点のご了承とご協力をお願い申し上げます。内視鏡消毒の問題について詳しく ・内視鏡.COMで解説しています

 

内視鏡本体の消毒液を新しい状態で使います。2千円の実費負担をお願いします。
「フタラール(グルタールアルデヒドの改良型)」という薬品で全ての内視鏡検査1件ごとに完全消毒します。肝炎ウイルス、エイズ、ピロリ菌などのあらゆる病原体が死滅します。しかし、フタラール液には「高価である(洗浄機の種類にもよりますが1回分、約4〜5万円が必要です。)」という大きな欠点があります。そのため、一部の施設では古くなって効果の半減したフタラール液を長期に再使用しています。(フタラールは2週間、または40回の検査が寿命です。活性低下の最大の原因は内視鏡に付着した水の混入による消毒液の希釈です)。当院ではフタラール液を毎日(検査約20回ごと)に新品に交換して最高の状態を維持しています。そのため患者様には消毒液の実費として1回検査あたり2000円の負担をお願いしています。

 
 処置具につきまして
処置具とは細胞検査やポリープ切除をおこなう器具です。これらは粘膜を傷つけますからメスや注射針と本質的に同じものです。内視鏡本体よりも遥かに厳しい消毒が必要です(ちなみに過去に報告された内視鏡の感染事故の大部分は処置具が原因と言われています。)
処置具の消毒法は2つあります。

1

オートクレーブ(高圧煮沸)で消毒する

日本の学界で推奨。
現在の日本の標準的な方法

2

一回ごと新品を使い捨てにする

米国で一般的な方法

通常はオートクレーブで生き残る病原体はいないのでオートクレーブで問題無いとされていました。しかし、米国では、(1)有機物が残存するとオートクレーブでも完全に滅菌できない(2)オートクレーブの反復により処置具が劣化し最高の状態で検査・切除手術ができない(3)注射針はオートクレーブしても肝炎の感染事故を起こしたことがある。処置具は針と同じ扱いにすべき(4)「狂牛病の原因のプリオンはオートクレーブでは不活化されない・・・・等の理由で 一回ごと使い捨てが標準的です。このため医療費が日本より高額になっています。

当院は以前は オートクレーブ法でしたが現在は 一回ごと使い捨てを採用してます。このため、細胞検査やポリープ切除を、おこなった場合、使い捨て処置具の実費のご負担(3000円)をお願いしています
 

新品の使い捨て処置具であることの保証
最近、「使い捨て用の処置具を再利用している病院が多い」という違法行為が報道され問題になりました。当院では違法行為が無いことを保証するため(1)使用時に新品を患者さんが見ている前で開封する(2)希望される方には使用した処置具を差し上げる(検査時に「処置具持ち帰ります」といってください)・・・・こととしています

従来の方法(処置具は再利用)をご希望の方はその旨を、おっしゃってください。この場合、処置具の費用(3000円)は発生いたしません。患者さんの判断で納得できる方法をお選びください


<参考資料>内視鏡学会でおこなったアンケート調査結果です(これは医師の自主的な回答で第3者が調査したものではありません。実情はもっと悪いでしょう)

  • 内視鏡を全検査1件ごとに高レベル消毒している・・・・83%のみ(残りは不十分な消毒しかしていない)
  • 処置具を全検査1件ごとにオートクレーブしている・・・・55%のみ(残りは「使い捨て」にしているのではなくて、不十分な消毒しかしていない)
  • 使い捨て用の処置具を再利用している・・・・・94%(内視鏡手術の場合)
  • 使い捨て用の処置具を再利用している・・・・・50%(内視鏡検査の場合)

参考 金原出版の「内視鏡機器の洗浄・消毒の実際」(編著:新潟県立ガンセンター参与:小越和栄氏)