集計法(医師向け)
当院の初診の方(=当院で大腸内視鏡が始めての方)だけに限定するために当院の最新のカルテ番号の方、100人を母集団にします。これは当院で2ヶ月間に行われる検査の約6分の1です。当院での大腸内視鏡が2度目以降の再診の方は、様々なバイアスがかかりますから集計から除外します。
通常、腺腫発見率はこのような方法で集計されますが(screening ADR)、このような方法ではなくて「全検査ADRを計算する方法」「全ポリープ発見率を計算する方法」もありますが、現時点(2018年)ではこの方法が最も標準的です
病理検査で腺腫が確定した方のみを集計しますが鋸歯状病変については以下のようにしています
大腸癌予防の観点からは腺腫発見率よりも、むしろSSAP発見率の方が重要であると考えています。しかし「過形成(鋸歯状)ポリープ」の発見率は統計を取るのに、いくつかの問題点(バイアス)があります。まず第一に微小な過形成ポリープは、ほとんどの方に見つかる(100%になる)ので指標にならないという点です。更にどの病変まで集計すべきか?という問題もあります。深部結腸の危険性の高い過形成(Proximal Hyper)の発見率が重要なのは異論が無いでしょう。しかしSSAPの病理診断基準は国によっても医師によっても違います。深部結腸の微少なProximal
Hyperはどうするか?SSAPの診断基準を満たさない中間型・過形成病変が直腸・S字にある場合(TSA型)はどうするか?「脾湾から口側の過形成は全て」集計に入れるという意見もあり、これらは見解が分かれます。腺腫発見率が高い医師は「過形成(鋸歯状)ポリープ」の発見率も高いことが判っているので(資料)、腺腫発見率が単純明快で最も有効なマーカーになると思います。あえて定義の曖昧なsessile serrated ADR (SSADR)を集計する意義はないと思いますが、「SSAPがあるが、腺腫は無い」というケースは区別がつくようにカルテ番号に(SSAPのみ)と併記し、腺腫発見率も「SSAPを含む集計」と「SSAPを含まない集計」を併記しています。(腺腫が無くSSAPのみの方の発癌リスクが、どの程度か?は見解が分かれるところであります)
以前はSSAPの診断は「非常に稀」で影響は小さいので、特に気にせずに区別しなかったのですが、最近は診断が多くなり影響が大きくなりましたので、このようにして明確に区別しています。