集計法(医師向け) 

当院での新患の方(=当院で大腸内視鏡が始めての方)だけに限定するために当院の最新のカルテ番号の方、100人を母集団にします。これは当院で2ヶ月間に行われる検査の約6分の1です。当院での大腸内視鏡が2度目以降の再診の方は、様々なバイアス(つまり過去に腺腫を切除した方が多い)がかかりますから集計から除外します。

通常、腺腫発見率はこのような方法で集計されますが(screening ADR)、このような方法ではなくて「全検査ADRを計算する方法」「全ポリープ発見率を計算する方法」もありますが、現時点(2018年)ではこの方法が最も標準的です


そして病理検査で腺腫が確定した方のみを集計しますが鋸歯状病変については以下のようにしています

病理報告書で「SA(Serrated Adenoma)」「 SSAP(Sessile Serrated Adenoma)」と明記されたものは集計に入れ、「serraated lesion、serraated type」としか書かれてていないものは除外します。

大部分の例でSAやSSAPは通常腺腫と「混在する」ことが多いために影響は少ないのですが、区別するために「SAのみで通常腺腫無し」「SSAPのみで通常腺腫無し」の場合はカルテ番号に「SAのみ」「SSAPのみ」と併記しています。

これらを集計に入れる医師とsessile serrated ADR (SSADR)として明確に区別している医師がいるために、この部分は若干の混乱があります。病理報告書も医師により「Sessile serrated adenoma 、Sessile serrated adenomatous polyp 、Mixed HyperPlastic Polyp/Low grade Adenomaと記載が変わることも混乱の原因になっています。

以前はSAやSSAPの診断は「非常に稀」で影響は小さいので、特に気にせずに区別しなかったのですが、最近は診断が多くなり影響が大きくなりましたので「カルテ番号31500以降」は、このようにして明確に区別しています。


また、他の考慮すべき要因として・・・

「高齢者の多い施設」「他施設から内視鏡手術の患者の依頼を多く受ける施設」は、必然的に腺腫発見率が高くなります。

当院の初診患者さんの平均年齢は45歳〜50歳代で、大腸癌検診を受ける平均的な層が中心で、特に高齢者が多い訳ではありません。

また、入院施設の無い当院が、他施設から内視鏡手術(EMR,ESD)の依頼を多く受けることもありません。

Q:腺腫発見率が全てと言っていいですか?
A:いいえ。発見したら次に「取り残し無く完全に切除する」ことが重要です。この問題は「数値で指標化する」のが難しく現在、米国の専門家が議論しています(CARE Study)。とりあえず
患者さんは「ポリープ切除後の写真」をしっかり確認することが重要です。

Q:腺腫以外に「過形成(鋸歯状)ポリープ」の発見率も重要なのではないですか?

A:「過形成(鋸歯状)ポリープ」の発見率
は統計を取るのに、いくつかの問題点(バイアス)があります。まず第一に微小な過形成ポリープは、ほとんどの方に見つかる(100%になる)ので指標にならないという点です。更にどの病変まで集計すべきか?という問題もあります。深部結腸の危険性の高い過形成(SSAP)の発見率が重要なのは異論が無いでしょう。しかしSSAPの病理診断基準は国によっても医師によっても違います。深部結腸の微少な過形成はどうするか?SSAPの診断基準を満たさない中間型・過形成病変が直腸・S字にある場合はどうするか?「脾湾から口側の過形成も全て」集計に入れるProximal Hyperという概念もあり、これらは見解が分かれます。腺腫発見率が高い医師は「過形成(鋸歯状)ポリープ」の発見率も高いことが判っているので(資料)、腺腫発見率が単純明快で最も有効なマーカーになると思います。あえて定義の曖昧なsessile serrated ADR (SSADR)を集計する意義はないと思います。