2017年4月1日〜5日開催の米国がん学会(AACR)年次総会で発表されたデータによると、長期間にわたるアスピリンの常用が、異なる数種のがんによる死亡リスクの低下に関連していた。

「アスピリンが、がんの発症リスクを減少させるだけでなく、がんによる死亡を減少させる上でも強力な役割を果たす可能性があることを示唆するエビデンスが集まりつつあります」と、本研究の筆頭著者であり、マサチューセッツ総合病院およびハーバード大学医学部のClinical and Translational Epidemiology Unit講師であるYin Cao氏(公衆衛生学修士、理学博士)は述べた。
過去の研究で、アスピリンが心血管疾患および数種のがん、特に大腸がんを予防する可能性があることが分かっている。米国予防医学専門委員会は現在、心血管疾患および大腸がんの予防のために、50歳から69歳までの成人の低用量アスピリンの服用を推奨している。
本研究で、Cao氏らは、全死亡率およびがん特異的死亡率におけるアスピリンの役割をさらに研究するため、さまざまな用量および期間でアスピリンの使用を検討した。1980年から2012年にかけてNurses’ Health Studyに登録された86,206人の女性、1986年から2012年にかけてHealth Professionals Follow-Up Studyに登録された43,977人の男性を対象として調査した。ベースライン時と、その後2年ごとにアスピリンの使用を評価した。
研究結果によると、32年間の追跡調査期間中に、22,094人の女性と14,749人の男性が死亡していた。そのうち女性8,271人と男性4,591人ががんで死亡していた。
アスピリンを常用していなかった場合と比較して、アスピリンを常用していた場合には、全死亡リスクが女性では7%、男性では11%低かったアスピリンを常用していた場合には、がん死亡リスクが女性では7%、男性では15%低かった。標準的なアスピリン錠を1週間あたり0.5〜7錠の用量で常用することで有益性が認められた。
相対リスクの最も大きな減少がみられたのが大腸がんで、アスピリンを常用していた場合、女性では31%、男性では30%であった。アスピリンを服用していた場合、女性では乳がんによる死亡リスクが11%低く、男性では前立腺がんによる死亡リスクが23%低かった。