胃の内視鏡の所見でピロリ菌が解るか?

実はこの問題は大変古い話題です。しかし、最近、この問題に関心を持つ方が増えているので、あえて取り上げます

内視鏡で胃の粘膜を観察することでピロリ感染が解るらしいという事実は論文になったのは2005年頃と記憶していますが、1990年後半から、我々専門医の間では「話題」として取り上げられていました。それは従来の「慢性胃炎の診断学」を大きく変えるものでした

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解り易く整理すると

ピロリ未感染 ピロリ感染(慢性胃炎)
粘膜に赤い点々がある 霜降りの牛肉のように斑状に赤い部分と白い部分がある
小さなポリープが多発(絶対、癌化しない)・下写真 赤い大きいポリープが単発(稀に癌化する)・下写真
粘膜の襞は細くまっすぐ 粘膜の襞は太く蛇行している

実際の内視鏡の写真を提示します

ピロリ未感染 ピロリ感染(慢性胃炎)

「典型的な所見」なら内視鏡だけで、ピロリの有無を予測できます。
しかし、実際には「どちらとも言えない微妙な場合」も多いです。専門家でも、この写真だけで完全な予測はできません。
内視鏡は「補助診断」で、やはり正確を期すならピロリ菌の検査(呼気テスト血液検査、便検査など)
が必要である・・・・という事情が御理解いただけると思います